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小池百合子・元防衛大臣(自民党)の政治資金問題その5 〜「調査費」支出先は秘書だった!〜

 小池百合子元防衛大臣の政党支部が裏金づくりのために「調査費」名目で秘書の幽霊会社に支出したように装ったのではないか、との疑念が生じました。

 

 

1 「調査費」名目の支出総額335万7000円(2009年から6年間)

 

小池百合子議員の政党支部「自民党東京都第10選挙区支」は、2012年から2014年まで、「M-SMILE」に「調査費」を合計210万円支出していましたが、「M-SMILE」という会社は、もう存在しないにもかかわらず、当該会社名の領収書が出され続けていたという不可解が問題を指摘し、不正目的の疑いがあったのではないかと書きました小池百合子自民党衆議院議員(元防衛大臣)の政治資金問題その2 〜不可解な「調査費」支出とその領収書問題〜)。

 

さらに、2009年まで遡って政治資金収支報告書(下記の注1を参照)を調査したところ、

2009年から2014年までの「調査費」名目の支出総額は、335万7000円にも及ぶことが判明しました。

また、「調査費」の支出先は、そのほとんどが「M-SMILE」という会社でしたが、1件だけ個人に支出されていたことも判明しました。

小池百合子自民党衆議院議員(元防衛大臣)の政治資金問題その1 〜セコイ支出、不適切な支出〜

 

自民党豊島総支部の」「調査費」名目の支出

支出の目的 金額 年月日 支出を受けた者の氏名・名称 支出を受けた者の住所・所在地
調査費 546,000 2009年7月15日 M-SMILE 東京都新宿区新宿5-11-28

 

自民党東京都第10選挙区支部

支出の目的 金額 年月日 支出を受けた者の名称 支出を受けた者の所在地
調査費 336,000 2009年7月6日 M-SMILE 東京都新宿区新宿5-11-28 7F
調査費 315,000 2009年7月6日 M-SMILE 東京都新宿区新宿5-11-28 8F
調査費 60,000 2010年1月22日 河野愛一朗 東京都新宿区西早稲田3-3-12
調査 950,000 2012年12月3日 MSMILE 東京都新宿区新宿-11-28
調査 250,000 2013年1月18日 MSMILE 東京都新宿区新宿-11-28
調査費 900,000 2014年11月10日 M-SMILE 東京都渋谷区広尾5-17-11
2,811,000

 

以上のうち、2009年、2012年、2014年は、衆議院総選挙の直前の支出です。

 

衆議院解散 2009年7月21日   総選挙投開票2009年8月30日

衆議院解散 2012年11月16日  総選挙投開票2012年12月16日

衆議院解散 2014年11月21日  総選挙投開票2014年12月14日

 

上記の「調査費」の支出のなかには総選挙の解散前の支出もありますが、当該支出について、小池事務所の担当者は、「選挙の際、世論調査」と弁明していますから(参照:小池百合子氏に新疑惑 “正体不明”の会社に調査費210万円)、当該支出の時点で、総選挙が施行されことを把握していたことになります。

また、2013年は、衆議院総選挙がなかったので、説明に整合性がありません。

2010年は、支出先が別人です。何のための調査だったのでしょうか?

 

 

2 「M‐SMILE」の元社長(後に株式会社モノヅクリの社長)は小池百合子元大臣の秘書だった!

 

「M‐SMILE」の元社長、後に株式会社モノヅクリの社長は、「森口つかさ」という名前の人物です。

 

小池元大臣は、今月21日に、東京都内4区(各欠員1)で実施される都議補選(22日告示、31日投開票)のうち、「新宿区に自身の元秘書の森口つかさ氏(34)を独自候補として擁立する」と発表したそうです(参照記事:都議補選、小池百合子氏が独自候補 「元秘書擁立」自民と対決構図)。

 

つまり小池元大臣が代表を務める「自民党豊島総支部」や「自民党東京都第10選挙区支」が「調査費」名目で支出していた元会社の社長森口つかさ」氏は、小池元大臣の秘書だったのです。

 

3 森口氏の学歴・経歴と矛盾する(!?)「調査費」支出

 

では、森口氏の学歴と経歴を、上記に関連する範囲で簡単にみてみましょう。

本人のHPのプロフィールによると、以下のようです。

 

1982年(昭和57年)2月、兵庫県宝塚市生まれ

2005年(平成17年)4月、京都大学大学院 工学研究科 生産システム工学 修士課程 入学

2006年(平成18年)4月、株式会社イプシロン・プレミアム・マーケティング 入社

2008年(平成20年)9月、衆議院議員小池百合子事務所 入所

2009年(平成21年)4月、兵庫県立大学大学院 緑環境景観マネジメント研究科 入学

2010年(平成22年)4月、慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 入学

2012年(平成24年)10月、株式会社モノヅクリ 設立

 

以上の学歴・経歴を踏まえても、

まず、森口氏が小池元大臣の秘書になった時期は、正確には不明のままですが、

2008年9月に「小池百合子事務所」に「入所」とあるので、その前に「秘書になったが秘書をやめていた」ということはないでしょう。

秘書になった時期は、正確には不明ですが、上記「入所」と同時期もしくは入所して一定期間後ということになります。

つまり、

小池元大臣が代表を務める「自民党豊島総支部」や「自民党東京都第10選挙区支」が、「調査費」名目で「M-SMILE」に支出したのは、森口氏が小池元大臣の秘書だった時期(あるいは、その時期と重なる)になります。

となると、

小池元大臣の秘書が社長の会社が選挙の世論調査をするのは問題ですが、その問題を脇に置くとしても、

通常、議員のために世論調査を行うことは秘書としての業務の一環で、調査の対価は給与として支払い済みのはずですし、電話代は事務所の負担で行えますから、「秘書の経営する会社」に調査費用を支払うというのは、あまりにも不自然です。

さらにいえば、

上記経歴には、「M-SMILE」の設立が一切明記されていませんし、

「M-SMILE」記簿の記載がないと報じられています。

また、少なくとも、2009年7月に「M-SMILE」(東京都新宿区新宿5-11-28)に政治資金を支出したと政治資金収支報告書に記載していますが、当時森口氏は「兵庫県立大学大学院」の院生ですから、

本当に「M-SMILE」を、東京で、設立していたのか、疑問です。

それゆえ、

「M-SMILE」への支出それ自体が真実ではないのではないか、

むしろ、裏金づくりのために虚偽の支出がなされたのではないか

との疑念が生じます。

 

いずれにせよ、

小池元大臣は、都知事選挙の投票の前に、きちんと説明し、説明責任を果たすべきです。

 

 

(注1)「自由民主党豊島総支部」および「自由民主党東京都第10選挙区支部」の政治資金収支報告書

 

2009年の自民党東京都豊島総支部の政治資金収支報告書

2010年の自民党東京都第10選挙区支部の政治資金収支報告書

 

 

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