政治とカネについて
弁護士 阪口 徳雄
1.政治家とカネの問題は深刻である
(1)政治家のカネ問題は、特に次の点が問題となる。
① 業者と政党、政治家との癒着。公共工事の受注、補助金の交付等の見返り、賄賂等として現れるからである。
② 国庫から政治家に多額の支給(政党交付金、歳費、秘書等)がされているのに、その支出が不明朗。
③ 企業、団体献金と国民の選挙権への侵害。団体内部の構成員の思想・信条との抵触等。
(2)以上の結果、政治家とカネ問題が政治不信の根本となっている。
2.何故、政治家のカネ問題が多発するのか
・政治にカネがかかる現実(カネの多い者が勝)。
※ イギリスでは、1997年の国会議員選挙の平均支出額830ポンド(約173万円)、日本の公職選挙法で定められている認定選挙費用
1910万 + 有権者1人当たり15円 ≒ 2500万~3000万円前後。しかし、政党の選挙活動は規制がない。よって、カネのある政党は強い。
・他方では、企業・団体献金がこれを助長し、存続させている。
3.政治家のカネを規制する立法の不十分さ
(1)刑法(贈収賄罪)
・刑法の要件が厳しい。
・国会議員の場合、政党支部を通じての政治献金という形をとると、賄賂性が見えなくなる。
・捜査機関も権力に遠慮(?)
(2)公職選挙法
買収、戸別訪問、文書違反等についての選挙犯罪については捜査機関も熱心。
最も重大な条文である199条1項等は、死文化している(国又は地方公共団体と請負・その他特別の利益を伴う契約の当事者である者は、当該選挙に関して寄附してはならず、これに違反すると3年以下の禁固又は50万円以下の罰金となっている。)
※ 毎年毎年、寄附すると「当該選挙に関した寄附でない」とか、選挙に関してというのは選挙の直前をさし3~4ヶ月前だと選挙に関した寄附でないという解釈を旧自治省がしている。
(3)政治資金規正法
これが政治家のカネを規制する根本法律であるが、ザル法である。又、捜査機関もこの法律違反の追及は甘い。その為にザル法を助長している。又、市民も関心がない。
4.政治資金規正法等の活用による政治家のカネを監視しよう
(1)政治資金規正法上の収支報告書の問題点
(2)国会議員が代表を務める政党支部ならびに同人の資金管理団体、後援会等の収支報告書をチェックしよう。
(3)違法な献金をチェックしよう。又は脱法問題も追及しよう。
※ 別紙国会議員のカネウォッチャーの募集参照。
5.政治資金オンブズマンの必要性
市民ネットワークの必要性(別紙参照)。