政治資金収支報告書の調査方法

第11回人権交流集会　企業献金分科会報告
政治資金収支報告書の分析に関して

2002年3月30日
報告者　野町直彦（株主オンブズマン）

１、 政治資金収支報告書分析に必要なもの
政治団体名簿（毎年5月、財団法人地方財務協会発行）、官報・政治資金収支報告書（毎年9月中旬発行）、各都道府県管轄の政治団体に関しては各都道府県の公報に掲載

２、 政治団体の種類
政党、政党支部、政治資金団体、資金管理団体、その他の政治団体に区別される。

３、 政治資金収支報告書の分析方法
収支報告書では（１）収入総額（２）支出総額（３）収入の内訳（４）支出の内訳（５）寄付の内訳、の順で記載。
（３）収入の内訳ではその政治団体への収入が何によるのかが示される。
個人からの寄附、団体からの寄附、機関紙の発行その他の事業収入、借入金など
（３）の収入のうち、寄附金収入については年間5万円を超える分は寄附を行った団体・個人の名称が（５）寄附の内訳に掲載される。
寄附を行った個人や企業・団体と政治団体とのつながりを調査する必要がある。
ケース１、資料１　故小淵首相の政治資金管理団体のケースでは、活動実体のない（人件費・事務所費・寄附金支出以外の政治活動費などの支出の形跡が見られない）ペーパー政治団体を迂回して特定の個人7名から年間150万円を超える政治献金を受け取っていた。
個人から政治家への寄附の制限を越えており、政治資金規正法22条の２違反である。

４、 地方の政治団体への寄付金の状況（別表１参照）
自民党の各都道府県支部連合会への企業献金が多いケースが目に付く。
とりわけゼネコンからの企業献金は長崎・熊本の両県で突出している。
ケース２、資料２で示した熊本県連のケースでも毎年2社から15社のゼネコン（東証上場）が年間50万円から1000万円までの政治献金を行っている。
平成13年9月に公示されたケースでは、三菱建設が熊本県連に1000万円の政治献金を行っている。一方で同時期の国民政治協会（自民党の政治資金団体、実質的な企業献金の受け皿）へは103万６千円の献金を行っただけである。官報で公示される国民政治協会への献金額を少なくし、地方の公報にしか掲載されない支部連合会への献金を増額しているのではないかとの疑念も抱かざるを得ない。
また、国民政治協会あての政治献金の1／３程度の多額の献金が行われているケースは数社で確認できる。
熊本県連の献金の場合、各ゼネコンの献金額が年度ごとに大幅に変動しており、県内での公共事業の実績に応じての献金ではないか？などの見方もあるが、その点については今後の調査を要する。

自民党民主党熊本県支部連合会へのゼネコン政治献金

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