政治資金オンブズマン

政治資金オンブズマン結成宣言

リクルート事件、東京佐川急便事件、ゼネコン事件、防衛庁事件、建設省事件、KSD事件など、政治家の絡む汚職事件が後を絶たちません。「政治家とカネ」に関わる事件が起こる度に、企業・団体の政治献金の禁止と政治倫理の確立が強く求められてきました。最近表面化した鈴木宗男氏の外務省・ODA疑惑や、加藤紘一氏の公共事業口利き・政治資金私的流用疑惑も、「政治家とカネ」にまつわる腐敗問題にほかなりません。また、辻元清美氏の政策秘書給与流用疑惑も、政治資金の出所や使途の不明朗性に関して無視できない問題を投げかけています。

政治資金規正法は、特定の者と特定の政治団体または政治家との癒着を防止するために、同一人から150万円を超える寄附を受け取ることを禁止しています。しかし、1999年12月に東京地検に告発された故小渕恵三元首相の例では、制限額を超える違法な寄附を、政治団体としての活動実態のない数個のペーパー団体に分割して、正当なものに見せかける脱法行為を行っていました。

政治腐敗は、政治にカネがかかりすぎ、カネのある政党および政治家が選挙において有利になる仕組みから生み出されます。企業の豊富な資金力に支えられた財界の政治献金はその大半が自民党の組織活動費として同党の国会議員に流れており、その総額は毎年数十億円の規模に達しています。にもかかわらず、時々の自民党幹事長や派閥の首領などの大口受取人を含むほとんどの議員が、政治資金収支報告書にはその支出先を記載していません。そのために、企業献金の実際の使途はまったく不明です。

政治にカネをかける政治家は、そのカネを集める、あるいは回収する手段として政治活動の場を利用することになりかねません。政治家の絡む多くの汚職事件はそれが杞憂でないことを物語っています。こういう現実に照らすとき、政治資金を規正する日本の法制度は欧米に比較してあまりにも不十分です。国会議員の場合、政治家個人への献金は表向き禁止されていても、政党支部や政治団体を迂回した献金や、後援会によるパーティ券を利用した資金集めなどの抜け道があります。こういう法的不備に加えて、捜査機関の弱腰もあって、公共工事の受注や補助金の交付や営業上の許認可などにかかわる賄賂性をもつ献金であっても、贈収賄事件は容易には立件されません。

わたしたちはこうした現状認識から、国民の政治不信の根本にある「政治とカネ」の問題を市民の目で監視し、浄化するために、ここに「政治資金オンブズマン」を設立します。

今後の活動としては、第1に「政治とカネ」について、専門家と一般市民が知恵を寄せ合って、国内外の情報を集め、研究と調査を進め、必要な提言を行います。第2に政治資金規正法等を活用して、政党、政党支部、国会議員を中心とする政治家の政治資金管理団体の収支報告書をチェックします。第3に政治家のカネを規制する法制度を強化するために、法改正や新しい立法化のキャンペーンを進めます。第4に重大な法違反や著しく不合理な行為があった場合には、捜査機関への告発や株主代表訴訟の提起などによって、非違行為の是正を求め、責任追及を行います。

なお本会は、株主オンブズマンの支援の下に日本生命と住友生命に対して起こされた政治献金の差し止めを求める裁判の取り組みのなかから生まれました。それゆえに今後も両団体は企業活動の市民監視において共通する範囲で協力関係をもっていくでしょう。

わたしたちはここに「政治資金オンブズマン」の結成を宣言し、日本に初めて誕生した「政治とカネ」を監視する市民ネットワークに多数の市民がご参加下さるよう呼びかけるものです。

2002年3月30日

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