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馬場伸幸維新共同代表の幹事長時代の使途不明金は5年間で1億8773万円超

はじめに

 「日本維新の会国会議員団」が「政策活動費」名目で数名の国会議員に寄附支出しており、それが使途不明金になっており、その金額は5年間で2億円超もあったとの調査結果を紹介しました。

「身を切る改革」に矛盾する「日本維新の会国会議員団」の使途不明金は5年間で2億円超

 再度、2016年から2020年までの5年間の当該使途不明金をまとめた一覧を再掲しておきましょう。

2016年~2020年の「日本維新の会国会議員団」の

「政策活動費」名目での国会議員への寄付支出(使途不明金)

「政策活動費」名目での寄附支出合計額国政選挙
2016年約2681・3万円参議院通常選挙
2017年4244・5万円衆議院総選挙
2018年3404・7万円 
2019年5865・8万円参議院通常選挙
2020年4497・2万円 
総計約2億0693・5万円 

 今回の投稿は、前掲使途不明金問題の2回目です。

1.馬場伸幸幹事長が2億円超の9割(1億8773万円超)受領

 2016年からの5年間のうち、「政策活動費」名目での寄附を「日本維新の会国会議員団」から一番多く受領していたのは、当時幹事長で現在共同代表の馬場伸幸衆議院議員でした。その金額は1億8773万円超でした。総額2億円超の90・7%を占めました。

2番目に受領額が多かったのは国会議員団国会対策委員長の遠藤敬衆議院議員ですが、その額は5年間で1323万円弱なので、馬場議員はその14倍超も受け取っていた計算になります。馬場議員の受領額が他の受領国会議員に比して突出して多いのはあまりにも明らかです。この点では自民党の前幹事長の二階俊博衆議院議員と同じです。

2016年から2020年まで「政策活動費」名目での寄附を

「日本維新の会国会議員団」から受領した国会議員

受領国会議員5年間の寄附合計額 受領国会議員5年間の寄附合計額
馬場 伸幸約1億8773・5万円 浅田 均166・5万円
遠藤 敬約1322・7万円 室井 邦彦112・7万円
下地 幹郎約300・9万円 その他の支出17・3万円

 

 馬場幹事長は、2016年から5年間の「政策活動費」名目の寄附の受領額が毎年例外なく1番多く受領していました。そのうち2019年は5年間のうち最高額の5600万円受け取っていました。

「政策活動費」寄附受領国会議員ごとのまとめ

馬場 伸幸遠藤 敬下地 幹郎
2016年約2057・5万円約478・8万円約88・4万円
2017年3765・0万円359・0万円104・5万円
2018年3071・0万円209・4万円108・0万円
2019年5600・0万円159・5万円
2020年4280・0万円116・0万円
合計額約1億8773・5万円約1322・7万円約300・9万円
浅田 均室井 邦彦その他の支出
2016年56・7万円
2017年10・0万円6・0万円
2018年5・0万円11・3万円
2019年65・3万円41・0万円
2020年101・2万円
合計額166・5万円112・7万円17・3万円

 (年ごとの受領一覧は末尾で紹介しています。)

2.馬場伸幸幹事長は受領回数も多く1回の受領額が高額

 馬場幹事長は、「政策活動費」名目の寄附の受領回数が1番多く、2016年を除き月2回平均で受領しているのですが、受領回数では遠藤敬国会対策委員長も同じ回数です。

それでも、遠藤敬国会対策委員長の14倍超も受領している馬場幹事長の場合は1回の受領寄附額が突出して高額なのです。5年間で受領回数総計109回のうち1回の受領額が50万円未満は1回もありません。全て50万円以上です。それどころか、350万円以上に限定して紹介すると、350円以上は10回もあり、特に2019年は500万円と550万円がそれぞれ1回ずつありました。

2016年は350万円が1回

2017年は350万円が1回、370万円が1回、380万円が1回

2019年は350万円が1回、400万円が1回、500万円が1回、550万円が1回

2020年は400万円が1回、450万円が1回

「政策活動費」名目の寄附を受領した国会議員ごとの回数

馬場伸幸遠藤 敬下地幹郎浅田 均室井邦彦
2016年12回12回12回6回
2017年25回24回11回2回
2018年24回24回11回1回
2019年24回24回12回5回
2020年24回19回12回
合計109回103回34回24回14回

馬場伸幸幹事長の受領した寄附額とその回数

50万円~100万円未満100万円~150万円未満150万円~200万円未満200万円~250万円未満250万円~300万円未満300万円~350万円未満350万円~550万円
161回5回2回2回1回1回
1711回5回3回3回3回
188回8回6回2回
191回4回5回5回3回2回4回
203回9回4回3回1回2回2回
合計24回31回20回15回5回4回10回

3.金権政治家(政治屋)だからこそ幹事長・共同代表になれる「日本維新の会」

 以上の「政策活動費」名目の寄附先と金額を決定しているのは、「日本維新の会国会議員団」の代表である馬場幹事長でしょう。その結果、自らが他の国会議員に比し突出して一番多額を受領していたのです。

 馬場幹事長と言えば、先日研究者11名(現在13名)が政治資金規正法違反で刑事告発していた事件(「有名投資家村上世彰氏の維新側への個人寄附を告発(政治資金規正法総枠制限違反)」)において、個人からの寄附の総枠制限(政治資金規正法)を超えて150万円の寄附を受領していた「日本維新の会」の政党支部の代表(支部長)でした。

 そのような人物が現在「日本維新の会」の共同代表の1人になっているのです。説明責任を果たさず「身を切る改革」に矛盾する使途不明金を自由に使っている金権政治家(政治屋)だからこそ、幹事長になれ共同代表になれたことになります。金権体質の自民党との違いは見えません。

4.中国企業「500ドットコム」との癒着関係疑惑

馬場幹事長は、国会議員団政調会長の下地幹郎衆議院議員にも少額ですが寄附していました。同議員は、カジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐり自民党の秋元司・衆議院議員が収賄容疑で逮捕された汚職事件に関連し、贈賄容疑で逮捕された中国企業「500ドットコム」の顧問から現金100万円を受け取り、政治資金収支報告書等に記載していなかったことを認めた金権政治家(政治屋)です(「維新・下地議員、現金受領認める IR中国企業顧問から IR汚職事件」朝日新聞2020年1月6日 22時40分(https://www.asahi.com/articles/ASN163RGRN16TPOB003.html)。

「日本維新の会」は下地議員の離党届を受理せず、除名処分にしました(「維新、現金受領の下地議員を除名処分 議員辞職も勧告へ」毎日新聞 2020/1/8 19:13(最終更新 1/8 19:13)(https://mainichi.jp/articles/20200108/k00/00m/010/227000c))。

しかし、「日本維新の会」は、下地議員を選挙で公認したにもかかわらず、下地議員に対し「500ドットコム」顧問から現金100万円を受け取りについて十分な説明責任を果たさせてはいません。

さらに気になることがあります。2018年カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案を成立させたのは、自公与党だけではなく、そこに「日本維新の会」も加わっていたことです(「カジノ実施法が成立 最大3カ所で設置可能に」朝日新聞2018年7月20日 21時31分(https://www.asahi.com/articles/ASL7N4DWHL7NUTFK012.html))。

となると、「日本維新の会」は、この法案に賛成したことについて、議員団政調会長という重要役職にあった下地議員がどのような役割を果たしたのか、説明が求められますが、その説明責任は果たされてはいません。この点でも自民党と同じ体質なのではないかと疑われます。

5.年ごとのまとめ

 2019年から2020年までの年ごとの政策活動費のまとめを一覧でご紹介します。

2016年政策活動費 2017年政策活動費
受領国会議員受領合計額 受領国会議員受領合計額
馬場 伸幸約2057・5万円 馬場 伸幸3765・0万円
遠藤 敬約478・8万円 遠藤 敬359・0万円
下地 幹郎約88・4万円 下地 幹郎104・5万円
室井 邦彦56・7万円 室井 邦彦10・0万円
 その他の支出6・0万円
総計約2681・3万円 総計4244・5万円
2018年政策活動費 2019年政策活動費
受領国会議員受領合計額 受領国会議員受領合計額
馬場 伸幸3071・0万円 馬場 伸幸5600・0万円
遠藤 敬209・4万円 遠藤 敬159・5万円
下地 幹郎108・0万円 浅田 均65・3万円
室井 邦彦5・0万円 室井 邦彦41・0万円
その他の支出11・3万円 
総計3404・7万円 総計5865・8万円
2020年政策活動費 2021年政策活動費
受領国会議員受領合計額 受領国会議員受領合計額
馬場 伸幸4280・0万円 
遠藤 敬116・0万円 
浅田 均101・2万円 
総計4492・2万円 

 次回の投稿では、馬場幹事長の受領した高額な寄附額とその受領時期について、さらに分析した結果を紹介します。

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