政治資金オンブズマン

小池百合子・元防衛大臣(自民党)の政治資金問題その3 〜政治資金パーティ収入・支出の不記載問題〜

東京都知事選挙に立候補を表明している小池百合子・元防衛大臣(自民党前衆議院議員)の政治資金問題については、これまで2回取り上げて指摘しました。

小池百合子自民党衆議院議員(元防衛大臣)の政治資金問題その1

〜セコイ支出、不適切な支出〜

 

 

小池百合子自民党衆議院議員(元防衛大臣)の政治資金問題その2

〜不可解な「調査費」支出とその領収書問題〜

 

今回は、その3です。

 

1 2012年の2回の「Y’sフォーラム」政治資金パーティ収入の不記載問題

(1)政治資金パーティ収入の不記載

参議院選挙前に発売された「週刊文春」(2016年7月14日号)が、

  • 小池百合子元防衛大臣の2012年の2回の政治資金パーティ収入
  • 2014年の1回の政治資金パーティ支出を、

それぞれ政治資金収支報告書に記載していなかったのではないか、という疑惑報道をしました。

まず、前者から、取り上げます。

報道によると、その政治資金パーティとは、

2012年3月12日同年6月25日

小池氏の選挙区内にある都内のホテルで開かれた「Y’sフォーラム」と称される政治資金パーティです。

「政治資金パーティを開催した場合は、収入額と会場代などの支出額を、それぞれ政治資金収支報告書に記載しなければなりません」(総務省政治資金課)

しかし、同年の小池氏の収支報告書の収入欄に、2つのパーティの記載はなく、なぜか支出欄に「会議費」として、パーティの会場代にほぼ合致する金額が記載されていた、というのです。

 

確かに、2012年分の小池議員の政党支部「自由民主党東京都第10選挙区支部」の政治資金収支報告書にも、資金管理団体「フォーラム・ユーリカ」のそれにも、「Y’sフォーラム」と称される政治資金パーティ収入の記載はありません

小池百合子_2012自民党東京都第10選挙区支部の政治資金、小池百合子_2012フォーラム・ユーリカの政治資金)。

 

また、上記「週刊文春」が指摘するように、資金管理団体の収支報告書には、「会議費」名目の支出はあります。96万5000円余の支出と40万8000万円余りの支出です。

 

支出の目的 金額 年月日 支出を受けた者の名称 支出を受けた者所在地
会議費 965,356 H24/3/12 日本ホテル株式会社 東京都豊島区西池袋1-6-1
会議費 408,571 H12/6/14 日本ホテル株式会社 東京都豊島区西池袋1-6-1

 

以上の通りで、「Y’sフォーラム」と称される政治資金パーティが開催されていたのであれば、その収入額を記載していないことになり、政治資金規正法の不記載罪に違反することになります。支出だけ記載していれば、収支が合わないことに気付くはずですから、収入分は裏金になった可能性があります。

一方、出席者から会費を取らずに上記パーティを開いたとしても問題です。選挙区内の人が出席していれば、選挙区民への寄付を禁じた公職選挙法違反となるからです。

 

上記報道後に、小池議員側は、政治資金パーティ開催を認めたようです(後述するように、訂正したと報道されました)。

となると、政治資金規正法の不記載罪に違反する疑いが生じます。

 

(2)訂正によると不記載罪だけではなく虚偽記載罪も

 

では、小池議員側は、どのように訂正したのでしょうか?

 

報道によると、必ずしも、訂正の詳細がわかるわけではないのですが、複数の訂正がなされたようです。

まず、上記で指摘した2012年の2回の政治資金パーティ分と思われる

102万円と84万円の収入を追加記載による訂正がなされ、

それだけではなく、さらに、

同年年3月に実施された、エジプトと英国の「大使館見学ツアー」の収入として

7万5000円の追加記載による訂正がされた、

というのです。

合計すると、193万5000円の収入を追加したことになります。

 

ところが、訂正はそれにとどまらず、

同年8月実施され、2901万6073円の収入があったと記載入れていた

「小池ゆりこさんの議員在職20年を祝う会」(2012年8月28日、ホテルオークラ東京で開催)の収入につき、

上記合計193万5000円を減額し、2708万1073円と訂正された、というのです。

 

さらに支出についても、同年6月の政治資金パーティの「会場費」39万7023円を追加記載する訂正がされた、というのです。

 

以上の訂正が真実であれば、政治資金規正法の不記載罪の違反だけではなく、虚偽記載罪にも違反する疑いが生じます。

 

(3)支出額も含めた訂正は真実か?

 

では、上記訂正は真実なのでしょうか?

 

上記の収入訂正だけではなく支出訂正もなされたということは、「翌年への繰越額」となる2012年末の残額が合わないので、真実の訂正なのか疑問です。

また、そのうちの収入訂正については、3月の収入を8月の収入に誤って処理していたというのも、にわかには信じがたいものです。収入については、後知恵で辻褄合わせをしたのではないかとの疑念が生じます。

小池元防衛大臣は、領収書や会計帳簿も含め公表し、きちんと説明責任を果たすべきでしょう。

 

2 2014年の1回の「Y’sフォーラム」政治資金パーティ支出の不記載問題

 

(1)政治資金パーティ支出の不記載

 

もうひとつの不記載問題は、上記「週刊文春」報道によると、

2014年12月29日開催の政治資金パーティ収入の記載はあるが、その経費の支出が記載されていないが、それは翌年(2015年)に支出されたのか(?)というものです。

 

確かに、資金管理団体の2014年分政治資金収支報告書によると、

 

2014年12月29日にホテルメトロポリタンで開催の「第16回Y’sフォーラム」については、収入として220万円が記載されています。

しかし、それに対応する会場費などの支出の記載はありません(小池百合子_2014フォーラム・ユーリカ.)。

 

確かに、上記政治資金パーティに要した「会場費」などの支出が翌2015年にずれ込んだのでれば、問題は生じません。

 

しかし、もし2014年内に「会場費」などの支出をしていたのであれば。それを収支報告書に記載していなかったことになり、政治資金規正法に違反することになります。

小池元防衛大臣は、これについても、きちんと説明すべきでしょう。

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