小泉純一郎同志会の収支報告書の疑問点
今、国会、マスコミで追及されている
小泉純一郎同志会の収支報告書の疑問点
1 小泉首相の政治団体
小泉純一郎国会議員には政治団体が判明しているだけで3つあります。
① 自由民主党神奈川県第11選挙区支部(自民党の政党支部)
代表小泉純一郎、会計責任者川辺務、事務担当者鍋倉正樹
場所 横須賀市小川町13宇野ビル3階
② 東泉会(小泉純一郎の政治資金管理団体)
代表者小泉純一郎、会計責任者小泉信子、事務担当者飯島勲
場所 衆議院第1議員会館327号室
③ 小泉純一郎同志会(その他の政治団体に該当)
代表者小泉正也、会計責任者小泉正也、事務担当者鍋倉正樹
現在の場所 上記①と同一。
但し平成12年12月以前は 横須賀市三春町1-1(小泉氏の自宅)であった。
2 小泉純一郎同志会の収支報告書
(1) 2003年1月1日から2003年12月末日までの1年間の収支報告書を見ると、収入19,024,000円のうち上記東泉会からの収入が19,000,000円あり、東泉会に99%以上依存している政治団体であることがわかります。
他方、支出を見ると、
① 人件費 9,240,000円
② 光熱費 185,707円
③ 備品、消耗品費 1,357,151円
④ 事務所費 5,052,815円
経常経費の合計 15,835,673円
⑤ 組織活動費 1,008,705円
⑥ 選挙関係費 0円
⑦ 機関紙誌の発行、その他の事業費 0円
⑧ 調査研究費 1,780,000円
政治活動の合計 2,788,705円
(2) この政治団体の上記⑤の組織活動費の1,008,705円については一切明細が記入されていません。5万円未満の支出は記入する必要がありませんが、5万円未満の合計が上記100万円余になる組織活動費とは一体何なのか疑問です。さらに、上記⑧の調査費も一切明細がありません。5万円未満だというのです。
以上の支出から見えるものは、この政治団体はほとんど目に見えるような政治活動をしていないということです。
(3) 上記のとおり、ほとんど政治活動らしい政治活動をしていないにもかかわらず、人件費9,240,000円、事務所費5,052,815円、備品、消耗品費1,357,151円が支出されているのです。
この人件費とは政治団体の職員に支払われる給料等をいいますが、一体この金は誰に支出されたのかが問題となります。事務担当者の鍋倉正樹氏は第一公設秘書ですから国から600~900万円が支払われているので、同人への支払は不要です。代表者である小泉正也氏以外に構成員がいるのかどうかは不明ですが、この点の説明が求められています。
また、ほとんど活動もしていない団体がどうして備品、消耗品費に135万円も必要なのか、事務所費等の505万円余も何に使われたのか問題となります。
(4) 10月18日、衆院の予算委員会で上記事務所費は事務所の家賃ではなく「切手代、電話代」であると答弁しました。しかし、政治活動をほとんどしていない団体が上記のとおり切手代等を505万円余を計上することは通常あり得ません。
ところで、同団体の1998年(平成12年)1月から同年12月末日までの収支報告書には、郵送料 平成12年12月15日 横須賀郵便局 711,955円が計上されています。また、1997年(平成11年)1月から12月までの収支報告書には、郵送料 平成11年12月17日 横須賀郵便局 1,514,133円 が計上されていることからみると、上記505万円余の事務所費の中に切手代等が含まれることは常識的には考えられません。
(5) 本来、小泉純一郎の政治活動としては、11選挙区支部の「事務所費」が合計6,966,683円として計上されています。このうち、家賃等がマスコミ報道によると500万円前後とすれば、それ以外の事務所費は200万円弱であります。11選挙区支部のように機関紙の発行宣伝事業等を行っている団体ですら上記のとおりであるのに、ほとんど活動をしていない団体の事務所が500万円も必要というのは市民にとって理解しかねます。なお、11選挙区支部に計上されている切手代として横須賀郵便局に1,329,455円を支払っていることからみて、同志会の政治団体の「切手代」等に500万円余を支払うことはおよそ考えられないことです。
(6) よって、家賃等は11選挙区支部と同一であるので不要とすれば、「切手代、電話代等」に何故これだけの大きな金が必要なのか、総理大臣としての説明責任が求められています。
法9条において、会計責任者は収入簿等、支出簿等の作成を義務づけられています。その支出簿には、何時、幾ら、誰に支払ったのかの明細が記載されているはずです。小泉首相はその会計帳簿を国会に提出して、この5,052,815円が切手代、電話代であるならばそれを具体的に示し、その説明責任を果たすべきです。
3 政治団体の経常経費の総額記載は法の「抜け道」です
政治団体の「経常経費」は明細が必要ではなく領収証の添付も不要なので、政治団体の支出における政治資金規正法の「抜け道」となっています。
政治団体の収支は原則、国民に開示するのが民主主義の基本です(法1条、2条)。政治資金規正法は、政治団体に対し、会計帳簿(収入簿、支出簿等)を作成し、それに全ての収入、支出を記載することを要求しています(法9条)。
ところが、国民に公開する法12条の収支報告書では、人件費、光熱水費、その他総務省令で定める経費として備品、消耗品費及び事務所費については、政治資金規正法12条1項2号、施行規則8条で、総額だけで足りその明細を省略でき且つ領収証の添付も不要としています。
この事務所費とは、通常は家賃、公租公課、火災保険料、電話使用料、切手代等、常識的に必要とされる経常的な経費であって、500万円を超える「切手代」等はこの中に含めるべきものではありません。500万円を超える切手代等というものは、経常経費ではなく「政治活動費」に計上し、国民に開示するべきものであります。もし、このような500万円を超える切手代、電話代をこの事務所費の中に含めるのであれば、政治資金規正法施行規則8条の「人件費、光熱水費、備品、消耗品費及び事務所費とする」という条文そのものを削除すべきであります。政治団体間の寄附の総額規制だけが政治資金規正法の改正と叫ばれていますが、このような法の「抜け道」こそすぐに改正すべきであります。