政治資金オンブズマン

政治資金収支報告書の分析結果から

内閣総理大臣小泉純一郎氏の政治資金収支報告書の分析結果から

2004年10月21日
政治資金オンブズマン

調査した対象政治団体
○東泉会
(資金管理団体、総務省管轄、代表者 小泉純一郎、会計責任者 小泉信子、事務担当者 飯島勲)

○小泉純一郎同志会
(その他の政治団体、神奈川県選挙管理委員会管轄、代表者 小泉正也、会計責任者 小泉正也、事務担当者 鍋島正樹)

○自由民主党神奈川県第十一選挙区支部
(政党の支部、神奈川県選挙管理委員会管轄、代表者 小泉純一郎、会計責任者 川辺務、事務担当者 鍋島正樹)

小泉純一郎氏が主宰する政治団体はその他に存在しているかどうかは調査未了

調査結果の主なもの
1.人件費、事務所費の内訳は規定により記載不要であるが、国民からみて不透明。その結果、小泉純一郎同志会、自由民主党神奈川県第十一選挙区支部の所在地が同一であるのも拘わらず双方のいずれにも事務所費が計上されており、事務所費の二重計上ではないかという指摘に繋がった。小泉首相の国会での答弁では、同志会の事務所費(年間500万円程度)は、切手、電話代という説明であった。しかし、国民からみてそのような説明には納得できない。政治資金収支報告書の開示が極めて不十分であることの代表事例の一つである。小泉首相は、国民に対して納得のできる説明が必要。

2.支出のうち(人件費などの特定科目は除く)1件当り5万円以上についは、その支出の内容を明らかにしなければならない。しかし、自由民主党神奈川県第十一選挙区支部の調査研究費の支出は平成12年度以降200万円から450万円の支出についてその明細がない。いずれも1件当り5万円未満という支出ということであるが、事実であろうか。また、小泉純一郎同志会の支出については1件当り5万円以上の支出は一切ないという収支報告書になっているがこれも事実であろうか。東泉会の15年度調査研究費の408万円及びそれ以前の支出についてもいずれも1件5万円未満の報告になっている。

3.自由民主党から組織活動費として所属議員一同に支給されている金額は、小泉首相の東泉会などに収入として計上されていない。これは、他の所属議員も同じであるが、自民党の政治活動に要する費用を各議員に渡されたものということでいわば渡し切り活動費の性格であるとの自民党の説明がある。しかし、その使途が明らかになっていないことは紛れもない事実である。小泉議員に本部が支給したということだけが明らかになっているの過ぎないものである。

4.小泉純一郎同志会にしろ自由民主党神奈川県第十一選挙区支部にしろ、支出の過半は、経常経費(人件費、事務所費など)であり、政治活動費の占める割合が低い。これらの政治団体は一体どのような政治活動を継続して行っているのか見えてこない。資金の流れから考えるに、政治団体の存在意義が見出せない。

5.国会議員には生活費に関係するであろう歳費(年間ほぼ2000万円)以外に文書交通費(毎月100万円)、立法事務費(毎月65万円)が支給され、それ以外に公費でもって秘書として3人確保できる。所属政党から政治活動費も支援される(政党交付金が政党に支給されている)中、それ以外の収支がこの政治団体等の3つに収支として現れている。この3つの政治団体等の1年間の人件費は、3500万円程度に上っている。公設秘書の給与以外にこれだけの人件費が計上されているものである。また、経常経費の3つ団体の合計は年間ベースでほぼ1億円に達している。政治にカネがかかるというが、政治にカネをかけているという方が真実であろう。

その他
1. 政治団体の収支報告書の入手は極めて面倒なものである。インターネットによる開示を早急に実現してもらいたい。

2. 一人の政治家は主宰する政治団体を網羅的に把握することは事実上困難である。小泉首相に関係する政治団体の全てを掌握する手立てはない。国民からみて分かるように改善が求められる。

3. 収支報告書の内容の真実性確保のために利害関係のない独立した専門家(公認会計士など)による外部監査を義務付ける必要がある。

4. 収支報告書の開示内容についてさらに詳細な報告が必要であり、報告書のあり方の改革が求められる。

以上

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