政治資金オンブズマン

告発状 平成研究会

2004年8月24日

東京地方検察庁 御 中

告発人ら代理人(代表)
弁 護 士  ○ ○ ○ ○

当事者の表示 - 別紙当事者目録記載のとおり

告発の趣旨

   被告発人瀧川俊行の下記の行為は政治資金規正法25条1項2号、3号に、被告発人橋本龍太郎は同法2項に違反するので、早急に捜査の上、厳重に処罰していただきたく告発する。

第1 被疑事実
 1 被告発人瀧川俊行は、平成研究会(いわゆる橋本派の政治資金規正法(以下単に「法」という)3条に定める政治団体)の会計責任者であった者であるが、
(1) 日本歯科医師連盟(日歯連)の代表であった臼田卓夫から2001年(平成13年)7月3日、金1億円の寄付を平成研究会が受けたのであるから、法12条に定める収支報告書を総務大臣に提出するに際してはその寄付を受けた者の氏名、金額、年月日、住所、代表者の氏名を記載すべく規定されていたのに、寄付を受けた者の氏名(日本歯科医師連盟)、金額(100,000,000円)、年月日(平成13年7月3日)住所(東京都千代田区九段北4-1-20)、代表者の氏名(臼田卓夫)を記載せず、2002年(平成14年)3月29日、総務大臣に収支報告書を提出して、
 もって本法25条1項2号に違反し、
(2) 2003年(平成15年)3月28日、法12条に定める収支報告書を総務大臣に提出するに際してはその真実の収入総額を記載すべく規定されているのに、前記1億円を隠蔽したことによって、真実の収入総額金2,434,679,910円と記載して総務大臣に報告すべきであるのに、それを金2,334,679,910円と虚偽の事実を記載し、
 もって本法25条1項3号に違反したものである。
2 被告発人橋本龍太郎は平成研究会の代表者であるが、金1億円の大金をも収支報告書に記載しないで総務大臣に上記の通り提出する者を平成研究会の会計責任者として選任し及び監督について相当の注意を怠り、
 もって本法25条2項に違反したものである。
第2 罪名及び罰条
 被告発人瀧川俊行は、政治資金規正法25条1項2号及び3号違反。
 被告発人橋本龍太郎は、政治資金規正法25条2項違反。

告発の理由

1 (平成研究会の収支報告書の提出)
 (1) 平成研究会の代表である橋本龍太郎は東京都内の料亭で、日本歯科医師連盟(日歯連)の会長であった臼田卓夫から2001年(平成13年)7月3日、金1億円の寄付を受けた。
 法9条によると、政治団体の会計責任者は会計帳簿を備え、これに全ての収入を記載すべく定められている(規則6条によると、収入簿と呼ばれている)。この収入簿には当該政治団体の全ての収入及び収入に係る一定事項を記載しなければならない。この会計帳簿等を備えず又はこれに記載すべき事項の記載をせず若しくはこれに虚偽の記載をした者には罰則が科せられる(法24条)。
 もし、1億円も収入があれば会計帳簿等に記載するのは会計責任者としては常識である。もし、入金があったのに故意又は過失により収入簿に記載しないとすれば会計責任者として失格である。
 しかし、そのような非常識なことはあり得ないはずである。当時の関係者が何らかの理由で故意に1億円を隠蔽させたとしか考えられない。
 いずれにしても、被告発人瀧川俊行は会計責任者として、2002年(平成14年)3月27日、法12条の収支報告書を総務大臣に提出するに際して、寄附を受けた者の氏名、住所、金額、年月日を記載すべき旨定められているのに、その収支報告書に上記金1億円について一切記入せずに提出した。当時の同会の収入は合計4.2億円ほどであり、且つ1回の行為で受けた1億円であるので、その記載を失念したとは思われない。
 (2) 2003年(平成15年)3月28日、平成研究会は法12条に定める収支報告書を提出している。しかし、前記のとおり金1億円を隠蔽したので、その報告書には、前年からの繰越金の真実は2,026,012,535円であったのに、1,926,012,535円と虚偽の事実を記載し、その結果、収入総額の真実は2,434,679,910円であったのに、金2,334,679,910円と収入の総額について虚偽の記載をして、総務大臣に提出したものである。
2 (代表者の責任)
  橋本龍太郎は平成研究会の代表者であり、この1億円の受け取りに関与している以上、会計責任者が上記1の行為をしなかった点に故意があったか又は仮に故意がなくとも、その会計責任者の選任、監督に相当の注意を怠ったことは明らかである。
政治家のカネの問題は実にルーズに処理されている。その責任の一端は、このような政治家(国会議員など)を罰する条文があり、且つ、この条文で罰金の刑に処せられれば法28条1項により選挙権及び被選挙権を有しない(公民権の停止)することになるのにこの条文が「死文化」していることにある。この条文を法律に定めるとおりに運用すればこのような1億の金の入金を隠蔽することは出来なくなるはずである。その役割は公訴権限を独占している検察の役割である。多くの国民は検察にその役割を期待し望んでいる。そのために告発した次第である。
3 以上のとおりであるので、御庁において、会計責任者や政治家等の口先だけの弁明を信用せず、平成研究会の会計帳簿等、銀行口座等を押収するなどして、1億円の金の収支状況について厳重な捜査をしていただきたく告発する次第である。

以上

添 付 書 類

1、委任状     8 通

告発人目録

告発人ら代理人目録

被告発人目録

〒100-0014 東京都千代田区・・・
被 告 発 人    橋   本    龍 太 郎
〒100-0014 東京都千代田区・・・
被 告 発 人    瀧   川   俊   行

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