意見書(1) 【 資料⑥ 】
資 料 ⑥
意 見 書 (1)
東京検察審査会
各委員 御中
2001(平成13)年12月21日
告発人代理人(代表)
弁護士 阪 口 徳 雄
1.組織活動費は、毎年毎年巨額の金が国会議員に配布されています。
(1)自民党の収支報告のうち2000年「組織活動費」のコピーは甲7号証のとおりです(今回、情報公開法により初めてコピーが出来た)。自民党の支出のうち約9,585,503,882円が「組織活動費」であり、うち8,503,850,000円が国会議員への「政治活動費」となっています(甲7号証 41~132頁)。
これを見ると、 (円)
12.1.13 森 喜朗 1000万
1.18 〃 3000万
1.18 〃 2000万
1.19 〃 1000万
1.21 小渕 恵三 2000万
1.21 〃 3000万
となっています(41頁)。
12.2. 1 森 喜朗 3000万
2. 1 〃 3000万
2. 1 〃 4000万
2. 1 亀井 静香 1000万
2. 1 古賀 誠 3000万
2. 4 小渕 恵三 1000万
2. 8 村上 正邦 1000万
2.10 森 喜朗 3000万
等となっています(44~45頁)。
48頁以下になると、
12.4.25 野中 広務 3000万
4.25 中村 正三郎 1.5億
4.25 小里 貞利 1.5億
4.25 亀井 善之 7500万
4.25 平沼 赳夫 1.5億
4.25 野呂田芳成 1.5億
4.25 麻生 太郎 5000万
4.25 大島 理森 5000万
等と億を超える金が国会議員に交付されています。5月18日から再び億を超える金が国会議員らに配られています。これらの金の最終支出先は、同人の資金管理団体の収支報告書に一切記入がありません。
(2)以上のように政治献金は、自民党の国会議員にどんぶりで配布され、何に費消されたのか全く不明です。更に、国会議員を引退する国会議員にもいわゆる「モチ代」以外にも「退職金」がわりに支払っています。
(引退表明日) (支払日)
田辺 国男 (2/5) 1000万円(5/30)
小沢 潔 (4/24) 1000万円(5/30)
梶山 静六 (4/26) 1000万円(5/30)
竹下 登 (5/1) 1000万円(5/25)1000万円(5/30)
原 健三郎 (5/8) 1000万円(5/30)
村田 敬二郎 (5/22) 1000万円(5/30)
山下 徳男 (5/29) 1000万円(6/1)
奥田 幹生 (6/2) 1000万円(5/30)
村山 達雄 (6/2) 1000万円(6/2)
桜内 義雄 (6/2) 1000万円(6/2)
2.この金をもらった国会議員は、この金をどのように処分したか全くわかりません。
これを受け取ったとされている国会議員の収支報告書には、何ら記載されていません。国会議員の個人のポケットに入ったとすれば、所得税上は雑所得として記載しなければなりません。私達普通の市民は全てそうしています。しかし、国会議員は全くそのようなことをしていません。自民党の回答も(甲5号証)のとおりです。そうすると、その者が誰かに配ったのかポケットに入れたのか全く不明です。
3.政治資金規正法12条の収支報告書には5万円以上の支出を書くことが要求されています。
収支報告書にある政党・政治団体が5万円以上の支出を記載するよう要求さているのは、政治家の金については国民の批判があるからこそ法12条1項2号で「1件あたりの金額が5万円以上のものに限る」支出を記載すべきことを要求しているのです。東京地方検察庁の不起訴理由はこの法律上1件あたり5万円以上の支出を義務付けた法律の趣旨に反します。
即ち、この条文は、
① 人件費 ② 水道・光熱費 ③ 備品・消耗品 ④ 事務所費
等については、総額を記載すれば足りますが、それ以外の支出は5万円以上の支出を全て記載すべきことが義務付けられているのです。このような方法が許されるのであれば、政党の支出は人件費等以外の支出は全て「当該支出を受けた金額等を自らの責任と判断で処理しうる立場にある者」、例えば政党の書記局長や幹事長に残りすべて交付したとしても許されることになります。
4.国会議員の受け取った金に税金がかからない特典があるのは、収支報告書に記載がある場合のみである。
一般の市民は他人から金をもらうと贈与税がかかります。しかし、国会議員が第三者から寄附を受けた場合には、それを自己の「資金管理団体」や選挙の収支報告書に記載した時は税金がかかりません。政治家の政治資金管理団体が一つに制限されるように平成6年、政治資金規正法が改正されました。それまでは、政治家は何個もの政治資金管理団体をもてたのですが、一つに制限され、
この団体を通じて政治家の収支を透明化しようとしたのです。
しかるに政党から国会議員に配布した金の全て、即ち逆に受け取った国会議員が何ら自己の政治資金管理団体に記載しなくても、それですむということになれば、何の為に政治資金団体を一個に制限したのか理由が全くありません。
検察庁の不起訴理由だと、政党からの組織活動費名目の金は、どのように処分しても法の欄外に置くことになります。
5.結論
よって、このような検察庁の考え方が許されるのなら、政党から国会議員に支払われた金の全てが公表されないことになり、ますます政治不信を助長します。