政治資金オンブズマン

意見書(2)  【 資料⑦ 】

資 料 ⑦

意 見 書 (2)

東京第2検察審査会
    各委員 御中
2002(平成14)年7月22日

 告発人代理人(代表)
弁護士  阪   口   徳   雄

6.組織活動費の巨額性と支出の不明
(1) 自民党の組織活動費名目の国会議員への支払は、平成9年75億4千万円、平成10年58億5千万円、平成11年48億5千万円に達しているにも関わらず、その真実の支出先を記載していません。1998年は、国会議員7人だけ、1999年は、2人だけが自己の資金管理団体に届出していますが、それ以外の者の真実の使途は、全くの不明であります。

(2) 調査の過程の中で、「支出」先には次の種類があります。
   イ. 森元幹事長や派閥の事務総長クラスへの支出は、真実その議員に配布した金ではなく、その者が第3者に支払うことを前提に同人に「預けた金」であることが明白な金です。
   ロ. 各国会議員1人1人に、700万~1,000万円を合計支払っているいわゆる「モチ代」については、1人1人にその所有権が移転しているものです。これについても、議員個人が政党から「寄付」された金をどう会計上処理したか、全く不明です。

(3) いずれにしても、この3年間で合計182億円余りになっていますが、金の最終支出先は、全く不明であります。

7.森 喜朗氏の金の受領と政治活動
1998年 6月12日  3,000万
         25日        衆議院選等
       7月25日        幹事長就任

       8月10日  1,500万  衆議院代表質問スタート
         12日    800万  国会審議
               1,000万
               2,000万
         18日  1,000万
         19日         金融法案修正で基本合意成立
                     長銀に資本注入
      9月22日         金融再生法化で合意成立
         24日   3,000万   

     10月 1日  3,000万  金融再生法与野党合意
         15日  5,000万  旧国鉄債務処理法成立
         16日  2,000万  臨時国会終了
         23日  2,000万  長銀国有化決定
     11月19日         自自連立政権成立へ
         25日  3,000万
         27日         臨時国会開幕
 
     12月 8日          補正予算通過
          9日  4,000万   
     12月14日  1,400万  臨時国会終了
              5,010万  

1999年 1月 6日  1,000万 自自改造内閣発足
         22日  2,000万 都知事選で自民都連幹部と会合
       2月 8日  1,000万 都知事選明石擁立で協議開始日
         12日  2,000万
         22日  4,000万
         23日  2,100万
               3,200万

       3月 3日  3,000万 森氏が大阪知事選がらみで会合(河野グループ)
         16日  5,000万 ガイドライン法衆院審議入り日
         25日  1,200万 12都道府県告示
                     いっせい地方選始まる。
         31日  2,000万

       4月 5日  2,000万 道府県議選制令市議選告示日
         26日  3,000万 開票日

       5月11日  3,000万  
         27日        ガイドライン法案成立(参院)
       6月 2日  1,000万 盗聴法衆院可決日
         10日  4,950万 日の丸法案を提出日

       8月10日  3,000万 日の丸法案 成立日
 
       9月 7日  5,000万   
          8日        自自公連立政権協議開始日

      10月20日  1,000万 西村政務次官辞任(核武装)
         25日  3,000万 政治家個人に対しても企業献金
                    存続決定(自民党)

      11月26日  3,000万 年金改正案衆厚生委で可決日

      12月16日  4,870万 臨時国会終了日
                700万  (本人分)

8. 組織活動費の実態
(1) 森喜朗氏が幹事長時代の金は、全くアングラマネーとなっています。
  受け取った者も全く無申告。本来、森個人が受け取った金なら、これを国会議員に配布することは、法21条の2に違反します。もし、森氏が議員に配布したとすれば、26条1号により、1年以下の懲役になります。

(2) 派閥のクラス。派閥の中のアングラマネーとなっています。
  派閥の中の誰に支出したかも不明です。この派閥の責任者も前記21条の2に違反。受け取った者も無申告です。

(3) 個々の議員(モチ代)も何に使ったか不明です。
  本来は、政治活動費なら自己の資金管理団体に、「入」として記載すべきです。税金の申告についても不要となっています(国税局との密約があるとも伝えられています。又、それとも国税局のサボタージュの可能性もあります。)

9.法的責任
 (1) 被告発人は、森氏1人になっているのは、会計責任者としての責任です。

 (2) 森氏が、この金は自民党からの預り金とすれば、政治資金規正法25条に違反します。
もし、この金は自民党という組織から受け取ったというならば、この金を議員に配布すると26条等に違反します。
 なお、自分の懐に入っていると脱税となります。
 
 (3) いずれにしても、森氏の金の流れは、追及されねばならないのに、それが設置されています。

10.検察庁の解釈の誤り
 政治資金規正法は、政党・議員の政治資金は国民に全て開示されねばなりません。何故、政党からの組織活動費をもらうと何も収支報告書に記載する必要性はないのか全く理解出来ません。検察庁の解釈は誤りです。

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