宮澤洋一・自民党参議院議員の政治資金問題 ~ 政治資金規正法違反の疑い ~
1 宮澤洋一議員について
宮澤洋一は、かつて内閣総理大臣を務めた宮澤喜一衆議院議員の政策秘書をしていましたが、2000年第42回衆議院総選挙において広島県第7選挙区から立候補して当選し、それ以降3期連続同選挙区で当選しました。2008年には内閣府副大臣(経済・財政政策、地方分権改革等担当)に就任しました。
しかし、2009年総選挙では落選し、2010年3月には「自由民主党広島県参議院選挙区第六支部」(以下「参議院選挙区第六支部」という)の支部長に就任し、同年7月第22回参議院議員通常選挙で広島県選挙区から立候補し当選した参議院議員です(宮沢洋一参議院議員の公式HP)。
2014年、政治資金問題で辞任した小渕優子氏の後任として経済産業大臣に就任し、2015年10月、内閣改造に伴い、同大臣を退任しました。
2 政治資金規正法違反(不記載罪)の疑い
(1)「参議院選挙区第六支部」の100万円の「闇ガネ」支出(2013年)の疑い
「日本医師連盟」(以下「医師連」という。代表・横倉義武)の2013年分政治資金収支報告書の支出覧には、宮澤洋一議員が代表の「参議院選挙区第六支部」に対し
2013年8月28日に100万円、12月25日に100万円、
≪計200万円≫を寄附した旨記載しています(日本医師会の2013年政治資金機収支報告書)。
しかし、一方、宮澤議員が代表の「参議院選挙区第六支部」の2013年分政治資金収支報告書には、「医師連」から寄附を受領した旨の記載はあるものの、それは、2012年8月28日100万円の寄附だけであり、同年12月25日100万円の寄附についての記載はありません。
「医師連」の収支報告書通りであれば、「参議院選挙区第六支部」は、後者の100万円を収入として一切記載していない以上、その分の支出についても一切記載していないことになります。
この100万円は、支出先の氏名・住所などを公表できない、言わば「闇ガネ」として政治活動に支出したからこそ、同支部の政治資金収支報告書に記載しなかった疑いが濃厚です。
(2)「参議院選挙区第六支部」の5万円の「闇ガネ」支出(2014年)の疑い
「県支部連」(代表・岸田文雄)の2014年分収支報告書の支出覧には、宮澤議員が代表の「参議院選挙区第六支部」に対し
2014年 5月31日 5万円
12月26日100万円
を、それぞれ「交付金」として寄附した旨記載しています。
しかし、一方、宮澤議員が代表の「参議院選挙区第六支部の2014年分政治資金収支報告書」には、「県支部連」から2014年12月26日に100万円の寄附を受領した旨の記載はあるものの、同年5月31日に5万円の寄附を受領したことについての記載は一切ありません。
「県支部連」の収支報告書通りであれば、上記(1)と同様に、当該5万円は、言わば「闇ガネ」として政治活動に支出したことになるからこそ、同支部の政治資金収支報告書に記載しなかった疑いが濃厚です。
最後に
政治資金については、政治資金規正法の規定通り会計帳簿を作って資金管理していれば、単純な記載漏れ・虚偽記載は起こりません。政治資金の受領・支出が銀行の口座間で行なわれれば、その記録が残りますから、尚更のことです。
仮に政治資金収支報告書の作成において単純なミスをしたとしても、その金融機関の通帳や会計帳簿を確認すれば、収支報告書の提出前に容易にそのミスに気付くはずです。何より翌年への繰り越し金額が合わなくなるので、誰でも気が付きます。
記載ミスではなく、真実は闇カネで受け取り、支出していたとしても、発覚すれば「記載ミスでした。訂正します」で済まそうとします。政治資金規正法で刑事告発しても、検察は国会議員の「政治とカネ」問題については、会計帳簿、預金通帳などを押収することはなく、「記載ミス」で終わりにする大甘処分を行います。これが国会議員の「闇カネ」を助長する役割をはたしています。
宮澤洋一参議院議員は、大臣経験者でもあります。是非とも、上記で指摘した政治資金規正法違反疑惑問題について主権者国民に納得のゆく説明を行い、説明責任を果たしていただきたいと思います。