政治資金オンブズマン

公開質問状 【 資料① 】

資 料 ①

公 開 質 問 状

1 貴殿の日々のご活躍に対し敬意を表します。
  さて、私たちは、日本生命、住友生命の国民政治協会への企業献金が契約者の意思に反するとして、大阪地方裁判所にその差し止め等の裁判を担当する弁護団であり、又それを支援する市民団体です。

2(1) 今回の裁判の過程の中で、企業献金は何に使われているのか、その使途を調査してまいりました。 
ところで、貴党の支出のうち、政党助成法に基づく政党交付金の使途等については、極めて詳細に自治省に提出されています。
 しかし、政党助成法に基づく支出以外の支出のうち、とりわけ組織活動費については、支出された金額、その年月日、国会議員の住所、氏名が記載されているだけであります。1998年度(平成10年度)の各国会議員への支出は、合計57億8670万円の巨額にのぼっています。

(2) そこで、私たちは、貴党が支出したとされる各国会議員が主催する資金管理団体のうち、自治省に届け出ている国会議員の同年度の収支報告書を見ますと、とにかく自由民主党本部から収入があったと記載されている国会議員はわずか7名であります。
 大半の国会議員は、貴党から交付された「組織活動費」なる名目で支出された金が何に使われたのか、収支報告書上不明であります。

 とりわけ、大口受取人の国会議員を見ると、
加藤紘一に45回 合計93,710万円
森喜朗に23回 合計41,210万円
となっています。
 1回で大口の受取人の国会議員も次のとおりとなっています。
 1998年6月1日  奥田幹雄 金1億円
     同日      関谷脇嗣 金1億円
     同日      宮下創平 金1億円
     同日      西田司   金1億2千万円
同年度の上位19人の明細は、別表1のとおりです。
平成8年、9年の大口の国会議員の氏名は、別表2のとおりです。

3 具体的質問事項
 (1) 組織活動費名目で各国会議員に出した金については、国会議員への政治活動に対する寄附になるのですか。政治活動に対する寄附ならば、国会議員が自己の資金管理団体に自由民主党から寄附を受けたとして政治資金規正法上記載すべきだと考えますが、大半の国会議員は、自己の資金管理団体にその旨記載していません。この点について、貴党は、各国会議員にどのように指導しているのですか。

(2) それとも、貴党の交付趣旨は、政治活動として国会議員に交付したのではなく、国会議員個人に交付したのですか。
 そうすると、受け取った国会議員が税務上の雑収入として計上し、且つ、その個人が経費として支出したとすれば、その明細は申告書に記載すべきことになると考えられます。その点については、貴党は各国会議員にどのように指導されているのですか。

(3) また、組織活動費名目の支出金は、政党の「機関」に対する支出になるのですか。
 しかし、そのような「機関」として国会議員が交付したというだけでは、政治資金規正法第12条2号、同法4条5項に定める「支出」に該当しない考えられます。それは単に、政党の内部組織の一機関に預けたというだけで、最終的にその機関たる国会議員が第三者に支出した先を記載するのが、同法で定められている「支出先」を記載すべきと考えるからであります。もし、この立場だと、法25条1項2号の「12条1項の規定に違反して、同法の収支報告書に記載すべき事項を記載しなかった者、又は虚偽の記入をした者」に該当し、5年以下の禁固刑または500万円以下の罰金に処せられます。

4 時折しも国会議員の金のあり方が問題となっています。
 なお、貴党のご回答をいただいた上で、交付を受けた各国会議員全員に質問をするつもりですので、本書到達後約15日以内に文書でご回答下さるよう要請致します。

2000年9月6日

              株主オンブズマン
              代  表  森  岡  孝  二

              日生・住生政治献金弁護団
              団  長  松   丸    正

大阪市北区○○○○

あさひ法律事務所
連 絡 先 弁護士 阪口徳雄

東京都千代田区永田町1-11-23

自由民主党               

代 表 者  森  喜 朗  殿
会計責任者 野 中 広 務 殿

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