法務大臣の岩城光英・自民党参議院議員の政治資金問題 〜不可解な家賃問題〜

法務大臣の岩城光英・自民党参議院議員の政治資金問題について調査したので、その一部を紹介します。

１　法令遵守が当然の法務大臣

岩城光英議員の主たる経歴は、以下の通りです（岩城光英HPより）。

岩城光英

選挙区・・・福島県（当選3回）

所属政党・・・自由民主党

１９７９年、いわき市議補選に立候補。落選。

１９８０年10月、いわき市議会議員に初当選（2期）

１９８６年8月、福島県議会議員に初当選（2期）

１９９０年10月、いわき市長初当選（2期）。

１９９８年7月、参議院福島選挙区にて初当選（7月）

２００２年、国土交通大臣政務官（10月）に就任。

２００７年8月、内閣官房副長官（～平成20年9月）

２０１５年10月、法務大臣

以上の経歴で分かるように、岩城光英議員は、参議院議員であり、第３次安倍改造内閣における法務大臣です。

安倍晋三首相は、岩城議員が法務大臣にふさわしいと判断しからこそ、参議院議員の岩城議員を法務大臣に抜擢したのでしょう。

では、岩城法務大臣は、政治資金規正法を遵守しているのでしょうか？

２　政党支部、政治団体とその「主たる事務所の所在地」

（１）岩城議員の政治団体は、政党支部を含め、以下の３つです。

自由民主党福島県参議院選挙区第1支部

光と風のフォーラム

いわき光英後援会

（２）以上の３団体の２０１１年分から２０１４年分までの各政治資金収支報告書は、以下でご覧いただけます。

◆いわき光英後援会

2011いわき光英後援会

2012いわき光英後援会

2013いわき光英後援会

2014いわき光英後援会

◆光と風のフォーラム

2011光と風のフォーラム

2012光と風のフォーラム

2013光と風のフォーラム

2014光と風のフォーラム

◆自由民主党福島県参議院選挙区第1支部

岩城光英_2011自民党参議院選挙区第一支部１５頁、１７頁

岩城光英_2012自由民主党参議院選挙区第一支部１６－１８頁

岩城光英_2013自由民主党参議院選挙区第一支部２７－２９頁

岩城光英_2014自民党福島県参議院選挙区第一支部１９－２０頁

（３）以上の３団体の代表

「自由民主党福島県参議院選挙区第1支部」は岩城議員が代表（支部長）の政党支部で、

「光と風のフォーラム」は岩城議員の資金管理団体なので、同議員が代表者です。

「いわき光英後援会」の代表は、岩城議員とは別の人物です。

（４）３団体の「主たる事務所の所在地」

しかし、以上３団体の「主たる事務所の所在地」は、代表の異なる後援会を含め、すべて同じです（政治資金収支報告書の１頁目）。

そして、連絡先の電話番号もまったく同じです。

３　「光と風のフォーラム」と「いわき光英後援会」は事務所の無償提供または家賃との差額分の金銭によらない寄付を記載していない！

（１）そこで気になるのは、以上の３団体の事務所の賃料（家賃）です。

そのうち、「光と風のフォーラム」と「いわき光英後援会」は、各政治資金収支報告書を見ても、いわゆる「家賃」の記載はありません。

（２）もっとも、「事務所費」の「その他の支出」に家賃が含まれている可能性がないとは言えませんので、各記載を確認したところ、以下のような記載になっていました。

◆「いわき光英後援会」の「事務所費」の「その他の支出」金額

２０１１年　　　５０００円

２０１２年　　　　　　０円

２０１３年　３万４１２１円

２０１４年　　　５０００円

以上のうち、２０１２年が０円ですので、「いわき光英後援会」は、少なくとも２０１１年以降、「事務所費」の「その他の支出」から家賃が支出されていないことがわかります（２０１２年だけ家賃を支払わないことは通常あり得ないし、不自然だからです）。

となると、事務所は、無償提供を受けていることになります。

しかし、その記載はどこにもありません。

政治資金規正法違反（不記載罪）の疑いが濃厚です。

◆「光と風のフォーラム」の「事務所費」の「その他の支出」金額

２０１１年　１３万１０７２円

２０１２年　１５万７１０９円

２０１３年　１４万９９１９円

２０１４年　１３万１０７２円

以上によると、２０１１年と２０１４年が同じ金額で、最低額ですから、もし家賃が含まれているとすれば、その家賃は最高でも年間１万円になります。

というのは、「光と風のフォーラム」は、資金管理団体であり、いわゆる国会議員関係政治団体なので、年間１万円を超える支出は記載しなければならないからです（政治資金規正法第１９条の１０）。

家賃が年間１万円以内というのは、あまりにも破格の金額です。

それゆえ、実際には無償提供を受けているか、もしくは、家賃１万円以下で、家賃の相場との差額分の（金銭によらない）寄付を受けているか、のいずれになります。

しかし、そのいずれの記載もありません。

そうであれば、政治資金規正法違反（不記載罪）の疑いがあります。

４　自由民主党福島県参議院選挙区第1支部は家賃を二重計上しているのではないか！？

（１）政党支部の事務所の賃料（家賃）の記載

　政党支部の事務所の賃料（家賃）は、どう記載されているのでしょうか？

　以下は、政党支部の２０１１年分から２０１４年分の政治資金収支報告書に記載された「家賃」をピックアップして一覧にまとめたものです。

（２）二重計上の疑い

以上の一覧で気になるのは、少なくとも２０１１年以降毎年、「いわき事務所家賃（管理費）」を除いて「いわき事務所家賃」が２回記載されていることです。

それゆえ、「いわき事務所家賃」が二重計上されているのではないかとの疑念が生じます。

（３）事務所は３か所！

もっとも、事務所が２つあるのかもしれません。

そこで確認したところ（http://www.iwaki-mitsuhide.jp/）

驚くべきことに、「国会事務所」を除いて、３つの事務所があることがわかりました。

いわき光英事務所

 〒973-8411 福島県いわき市小島町１－８－７

 TEL 0246-27-6510 FAX 0246-27-6635

【いわき事務所】

福島県いわき市鹿島町船戸字京塚３

TEL0246-85-0010　　FAX0246-85-0016

【本部】

福島県福島市太平寺字過吹３

TEL024-573-1517　FAX024-573-6117

（４）不記載の疑い

政治資金収支報告書に記載されている「主たる事務所の所在地」は、すでに紹介しました。

その所在地は、「いわき事務所」ではなく、「いわき光英事務所」と同じです。

となると、前述の「いわき事務所家賃」の二重計上に加えて、「いわき光英事務所」と「本部」事務所は無償提供されている可能性があり、そうであれば、これも政治資金規正法違反（不記載罪）の疑いがあります。

かりに収支報告書に２回記載されている「いわき事務所家賃」が「いわき事務所」と「いわき光英事務所」の各家賃であり、単純な誤記で二重計上ではないとしても、「本部」の事務所の家賃または無償提供が記載されていないことになります。

そうであれば、政治資金規正法違反（不記載罪）の疑いがあります。

いずれにせよ、岩城議員には説明してもらう必要がありますが、以上のような疑念が生じる点だけでも「法務大臣にふさわしかった」とは言えそうにありません。

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