政治資金オンブズマン

日本経団連の政党評価献金方式についてのコメント

日本経団連の政党評価献金方式についてのコメント

2004年2月1日

政治資金オンブズマン
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1 はじめに

本年1月28日、日本経団連(以下、経団連という)は自己の政策10項目について政党の政策を政策別に評価し、自民党を合計85点、民主党を合計50点として、経団連加盟企業に総額40億円の献金を呼びかけました。

2 40億円の金を武器に政党の政策を自らの団体に有利になるよう誘導するのは、民主主義に反します

経団連が自らの要求を実現するために政党の政策を評価するのは自由です。私たちはそのことに反対していません。その評価と40億円という金とを結びつける経団連献金方式を批判しているのです。

民主主義社会においては政党、政治家に対する影響力の行使は、言論により世論を形成し、または政党、政治家等への言論と説得により自らの要求の正当性、妥当性を理解してもらい実現することにあります。

しかし、経団連は、自らの要求の正当性を政党、政治家に対し言論により説得するのではなく、40億円という巨額な金という武器で自らの要求を実現しようとしているのです。バブルの時代、地上げ屋が札束で関係者の頬を叩き、自らの要求を実現させた方法と同じです。言論による説得を放棄し、いわば「金にものを言わせる」きわめて品のない恥ずべきやり方だと、内外から厳しく批判を受けるでしょう。日本の経済界のトップの人達が採るべき方法ではありません。

3 経団連の献金を受けた政党の政策を国民は信用しなくなります

経団連の10項目の要求をその政党が自己の政党の政策として掲げたり、経団連要求のように変更したりするとしましょう。仮にその政党が国民の立場に立ってその政策を掲げていたとしても、選挙民は、政党が経団連の献金欲しさに、または献金を受けたため政策を掲げあるいは変更したと評価します。政党政治への不信が却って助長されます。

4 国会議員の使途不明金を助長する企業献金をすべきではありません

経済同友会は、1998年4月20日、「経済界と政治の新たな関係の構築」と題する提言において、「政治献金について本格的な議論を行うためには、政治資金の支出に関する真の情報開示が第一歩である」と述べています。

しかし経団連は、今回の献金に際して、「民間寄附の使途を公表するよう要望する」としているだけで、政治資金の真の支出についての情報開示を要求していません。取締役が自分のポケットマネーを寄附するならその支出について誰も文句は言わないでしょう。しかし、会社の金を寄附する以上、その最終使途が明白にならない限り、献金することは経済人として極めてずさんな寄附となります。

ところで、企業献金の大半は自民党本部を通じて国会議員一人一人に交付されています。自民党の組織活動費の実態は、本オンブズマンのホームページのとおりです。

国会議員が受け取ったこれらの金は何に費消されたのか、国会議員の資金管理団体に一切報告されていません。野党対策、傘下の自治体の議員への配布、さらにはポケットマネーになったとしても誰からも追及されないのです。7年間で合計398.75億円にも達しています。

このような巨額な使途不明金をより一層助長する企業献金を経団連は推奨すべきではありません。

5 結論

直ちにこのような働きかけを中止することを求めます。また、企業もこれに応じて献金をすべきではありません。

私たちは、この経団連の要請に応えて献金を開始する企業、また再開する企業に対して、必要な批判活動を続けるつもりです。

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