政治資金オンブズマン

高市早苗総務大臣(奈良2区)、奥野信亮(奈良3区)を次期衆議院選挙における落選対象議員として告発しました

告発理由

奈良2区選出の山本(高市)早苗総務大臣、奈良3区の奥野信亮衆議院議員を落選対象衆議院議員の第5・6号として5月10日付で奈良地方検察庁に政治資金規正法違反で告発しました。

 

告  発  状

 

                                                2016年5月10日

奈良地方検察庁 御 中

                                   告発人上脇博之ら13名代理人

弁 護 士    阪  口  徳  雄

(別紙代理人目録記載の弁護士25名代表)

 

山本(高市)早苗総務大臣、奥野信亮衆議院議員ら

政治資金規正法違反告発事件

 

当事者の表示 - 別紙当事者目録記載のとおり

 

告発の趣旨

被告発人山本(高市)早苗(「自由民主党奈良県第二選挙区支部」(以下「第二選挙区支部」という)の代表)、同木下剛志(「第二選挙区支部」の会計責任者)、同奥野信亮(「自由民主党奈良県支部連合会」(以下「県支部連」という)及び「自由民主党奈良県第三選挙区支」(以下「第三選挙区支部」という)の代表)、同上田悟(「県支部連」の会計責任者)、同西川史郎(「第三選挙区支部」の会計責任者)の各行為は、以下の告発事実記載の各法条に違反するので早急に捜査の上、厳重に処罰していただきたく告発する。

 

               記            

第1 告 発 事 実

1 山本(高市)早苗らの告発事実

(1)受領寄附440万円の不記載とその「闇ガネ」支出(2012年)

「県支部連」(代表・奥野信亮)が奈良県選挙管理委員会に提出している、政治資金規正法に定める2012年分政治資金収支報告書(以下「県支部連2012年分収支報告書」という。)の支出欄には、「第二選挙区支部」に対し2012年8月21日に440万円を「交付金」として寄附した旨の記載があるが、「第二選挙区支部」の政治資金規正法に定める2012年分政治資金収支報告書(以下「第二選挙区支部2012年分収支報告書」という。)には、「県支部連」からの寄附の受領については一切記載されてはいない。

「県支部連2012年分収支報告書」通りであれば、「第二選挙区支部」は、受領した寄附金440万円を記載しなかっただけではなく、それを収入に含めて記載していない以上その分の支出についても一切記載してはいないことになる。つまり、受領寄附440万円は、言わば「闇ガネ」として支出したとしか考えられない。

「第二選挙区支部」の代表である山本早苗は、同会計責任者であった木下剛志と共謀の上、「第二選挙区支部2012年分収支報告書」の収入欄に「県支部連」からの寄附440万円の寄附を記載し、同支出欄にはその分の支出を記載する義務を負っていたにもかかわらず、その義務に違反し、それらを一切記載せず、2013年5月29日に同収支報告書を奈良県選挙管理委員会に提出し、

もって政治資金規正法第25条第1項第2号(不記載罪)に違反したものである。

 

(2)受領寄附435万円の不記載とその「闇ガネ」支出(2013年)

「県支部連」が奈良県選挙管理委員会に提出した、政治資金規正法に定める2013年分政治資金収支報告書(以下「県支部連2013年分収支報告書」という。)の支出欄には、「第二選挙区支部」に対し2013年6月12日に435万円を「交付金」として寄附した旨の記載があるが、「第二選挙区支部」の政治資金規正法に定める2013年分政治資金収支報告書(以下「第二選挙区支部2013年分収支報告書」という。)には、「県支部連」からの寄附の受領については一切記載されてはいない。

「県支部連2013年分収支報告書」通りであれば、「第二選挙区支部」は、受領した寄附金435万円を記載しなかっただけではなく、それを収入に含めて記載していない以上、その分の支出についても一切記載してはいないことになる。つまり、受領寄附435万円は、言わば「闇ガネ」として支出したとしか考えられない。

「第二選挙区支部」の代表である山本早苗は、同会計責任者であった木下剛志と共謀の上、「第二選挙区支部2013年分収支報告書」の収入欄に「県支部連」からの寄附435万円の寄附を記載し、同支出欄にはその分の支出を記載する義務を負っていたにもかかわらず、その義務に違反し、それらを一切記載せず、2014年5月2日に同収支報告書を奈良県選挙管理委員会に提出し

もって政治資金規正法第25条第1項第2号(不記載罪)に違反したものである。

 

(3)計50万円の収入の不記載とその「闇ガネ」支出(2014年)

ア 政治資金パーティー券代40万円の不記載とその「闇ガネ」支出

「奈良県トラック運送事業政治連盟」(以下「県トラック運送連盟」という。代表・藤岡修三)が奈良県選挙管理委員会に提出した、政治資金規正法に定める2014年分政治資金収支報告書(以下「県トラック運送連盟2014年分収支報告書」という。)の支出欄には、「新時代政策研究会」に対し2014年5月29日に「パーティー券購入」代金40万円を支出した旨の記載があるが、「新時代政策研究会」(以下「新時代政策研」という。)の政治資金規正法に定める2014年分政治資金収支報告書(以下「新時代政策研2014年分収支報告書」という。)には、「県トラック運送連盟」からの「パーティー券購入」代金の受領については一切記載されてはいない。

「県トラック運送連盟2014年分収支報告書」通りであれば、「新時代政策研」は、受領した「パーティー券購入」代金40万円を記載しなかっただけではなく、それを収入に含めて記載していない以上、その分の支出についても一切記載してはいないことになる。つまり、受領代金40万円は、言わば「闇ガネ」として支出したとしか考えられない。

「新時代政策研」の代表である山本早苗は、同会計責任者であった木下剛志と共謀の上、「新時代政策研2014年分収支報告書」の収入欄に「県トラック運送連盟」からの「パーティー券購入」代金40万円(2014年5月29日)を記載し、同支出欄にはその分の支出を記載する義務を負っていたにもかかわらず、その義務に違反し、それらを一切記載せず、2015年6月15日に同収支報告書を(奈良県選挙管理委員会を介して)総務大臣に提出し

もって政治資金規正法第25条第1項第2号(不記載罪)に違反したものである。

 

イ 受領寄附計10万円の不記載とその「闇ガネ」支出

①「奈良県薬剤師連盟」(以下「県薬剤師連」という。代表・竹上茂)は、2015年3月20日奈良県選挙管理委員会に、政治資金規正法に定める2014年分政治資金収支報告書(以下「県薬剤師連2014年分収支報告書」という。)を提出しており、同収支報告書の支出欄には、「第二選挙区支部」に対し2014年11月29日に5万円を寄附した旨の記載がある。

②また、「自由民主党奈良県参議院選挙区第一支部」(以下「参議院選挙区第一支部」という。代表・堀井巌)が奈良県選挙管理委員会に提出した、政治資金規正法に定める2014年分政治資金収支報告書(以下「参議院選挙区第一支部2014年分収支報告書」という。)の支出欄には、「第二選挙区支部」に対し2014年12月2日に5万円を「交付金」として寄附した旨の記載があるが、「第二選挙区支部」の政治資金規正法に定める2014年分政治資金収支報告書(以下「第二選挙区支部2014年分収支報告書」という。)には、「参議院選挙区第一支部」からの寄附の受領については一切記載されてはいない。

③「県薬剤師連2014年分収支報告書」および「参議院選挙区第一支部2014年分収支報告書」通りであれば、「第二選挙区支部」は、受領した寄附金計10万円を記載しなかっただけではなく、それを収入に含めて記載していない以上、その分の支出についても一切記載してはいないことになる。つまり、受領寄附5万円は、言わば「闇ガネ」として支出したとしか考えられない。

「第二選挙区支部」の代表である山本早苗は、同会計責任者であった木下剛志と共謀の上、「第二選挙区支部2014年分収支報告書」の収入欄に「県薬剤師連」からの寄附5万円(2014年11月29日)および「県支部連」からの寄附5万円の寄附(2014年12月2日)を記載し、同支出欄にはその分の支出を記載する義務を負っていたにもかかわらず、その義務に違反し、それらを一切記載せず、2015年6月1日に同収支報告書を奈良県選挙管理委員会に提出し

もって政治資金規正法第25条第1項第2号(不記載罪)に違反したものである。

 

2 奥野信亮らの告発事実

(1)受領政治資金計127万円の不記載とその「闇ガネ」支出(2014年)

ア 「県支部連」受領「会費」122万円の不記載とその「闇ガネ」支出

「第二選挙区支部」(代表・山本早苗)が奈良県選挙管理委員会に提出した、政治資金規正法に定める2014年分政治資金収支報告書(以下「第二選挙区支部2014年分収支報告書」という。)の支出欄には、「県支部連」に対し2014年6月13日に「会費」として122万円を寄附した旨の記載があるが、「県支部連」の政治資金規正法に定める2014年分政治資金収支報告書(以下「県支部連2014年分収支報告書」という。)には、「第二選挙区支部」からの「会費」としての寄附122万円の受領については一切記載されてはいない。

「第二選挙区支部2014年分収支報告書」通りであれば、「県支部連」は、受領した「会費」としての寄附金122万円を記載しなかっただけではなく、それを収入に含めて記載していない以上、その分の支出についても一切記載してはいないことになる。つまり、受領122万円は、言わば「闇ガネ」として支出したとしか考えられない。

「県支部連」の代表である奥野信亮は、同会計責任者であった上田悟と共謀の上、「県支部連2014年分収支報告書」の収入欄に「第二選挙区支部」からの「会費」としての寄附122円の寄附を記載し、同支出欄にはその分の支出について記載する義務を負っていたにもかかわらず、その義務に違反し、それらを一切記載せず、2015年3月31日に同収支報告書を奈良県選挙管理委員会に提出し、

もって政治資金規正法第25条第1項第2号(不記載罪)に違反したものである。

 

イ 「第三選挙区支部」受領「寄附金」5万円の不記載とその「闇ガネ」支出

「奈良県歯科医師連盟」(以下「県歯科医師連」という。代表・森口浩充)は、2015年3月27日奈良県選挙管理員会に、政治資金規正法に定める2014年分政治資金収支報告書(以下「県歯科医師連2014年分収支報告書」という。)を提出しており、同収支報告書の支出欄には、「第三選挙区支部」に対し2014年10月29日に5万円を寄附した旨の記載があるが、「第三選挙区支部」の政治資金規正法に定める2014年分政治資金収支報告書(以下「第三選挙区支部2014年分収支報告書」という。)には、「県歯科医師連」からの「寄附金」5万円の受領については一切記載がなされてはいない。

「県歯科医師連2014年分収支報告書」通りであれば、「第三選挙区支部」は、受領した「寄附金」5万円を記載しなかっただけではなく、それを収入に含めて記載していない以上、その分の支出についても一切記載してはいないことになる。つまり、受領5万円は、言わば「闇ガネ」として支出したとしか考えられない。

「第三選挙区支部」の代表である奥野信亮は、同会計責任者であった西川史郎と共謀の上、「第三選挙区支部2014年分収支報告書」の収入欄に「県歯科医師連」からの「寄附金」5万円を記載し、同支出欄にはその分の支出について記載する義務を負っていたにもかかわらず、その義務に違反し、それらを一切記載せず、2015年5月22日に同収支報告書を奈良県選挙管理委員会に提出し、

もって政治資金規正法第25条第1項第2号(不記載罪)に違反したものである。

 

(2)「出所不明」の88万1400円収支(2011年)

「自由民主党奈良県第三選挙区支部」(以下、「第三選挙区支部」という。代表・奥野信亮)が奈良県選挙管理委員会に提出した、政治資金規正法に定める2011年分政治資金収支報告書(以下「第三選挙区支部2011年分収支報告書」という。)の収入欄には、「県支部連」から2011年3月22日に30万円、7月11日に88万1400円の寄附をそれぞれ受領した旨の記載があるが、「県支部連」の政治資金規正法に定める2011年分政治資金収支報告書(以下「県支部連2011年分収支報告書」という。)には、「第三選挙区支部」への「寄附」について記載してはいるものの、それは、2011年3月22日30万円だけであり、同7月11日88万1400円の「寄附」については記載がない。

「第三選挙区支部2011年分収支報告書」通りであれば、「県支部連」は、「第三選挙区支部」に「寄附」した88万1400円を記載しなかっただけではなく、それを支出に含めて記載していない以上、その分の収入についても一切記載してはいないことになる。つまり、寄附金88万1400円は、言わば「出所不明」の闇ガネであったとしか考えられない。

「県支部連」の代表である奥野信亮は、同会計責任者であった上田悟と共謀の上、「県支部連2011年分収支報告書」の支出欄に「第三選挙区支部」に対し2011年7月11日に88万1400円を「寄附」したと記載し、同収入欄にはその分の供与者について記載する義務を負っていたにもかかわらず、その義務に違反し、それらを一切記載せず、2012年4月2日に同収支報告書を奈良県選挙管理委員会に提出し、

もって政治資金規正法第25条第1項第2号(不記載罪)に違反したものである。

 

(3)「出所不明」の81万2400円の収支(2012年)

「第三選挙区支部」(代表・奥野信亮)が奈良県選挙管理委員会に提出した、政治資金規正法に定める2012年分政治資金収支報告書(以下「第三選挙区支部2012年分収支報告書」という。)の収入欄には、「県支部連」から2012年7月9日に81万2400円、8月21日440万円の寄附をそれぞれ受領した旨の記載があるが、「県支部連」の政治資金規正法に定める2012年分政治資金収支報告書(以下「県支部連2012年分収支報告書」という。)には、「第三選挙区支部」に対する2012年8月21日440万円の「寄附」については記載があるものの、同年7月9日81万2400円の「寄附」については記載はなされてはいない。

「第三選挙区支部2012年分収支報告書」通りであれば、「県支部連」は、「第三選挙区支部」に「寄附」した81万2400円(2012年7月9日)を記載しなかっただけではなく、それを支出に含めて記載していない以上、その分の収入についても一切記載してはいないことになる。つまり、寄附金81万2400円は、言わば「出所不明」の闇ガネであったとしか考えられない。

「県支部連」の代表である奥野信亮は、同会計責任者であった上田悟と共謀の上、「県支部連2012年分収支報告書」の支出欄に「第三選挙区支部」に対し2012年7月9日に81万2400円を「寄附」したと記載し、同収入欄にはその分の供与者について記載する義務を負っていたにもかかわらず、その義務に違反し、それらを一切記載せず、2013年4月1日に同収支報告書を奈良県選挙管理委員会に提出し、

もって政治資金規正法第25条第1項第2号(不記載罪)に違反したものである。

 

(4)「出所不明」の31万5600円の収支(2013年)

「自由民主党奈良県第一選挙区支部」(以下「第一選挙区支部」という。代表・小林茂樹)の奈良県選挙管理委員会に提出した、政治資金規正法に定める2013年分政治資金収支報告書(以下「第一選挙区支部2013年分収支報告書」という。)の収入欄には、「県支部連」から2013年6月12日に435万円、同年7月31日に31万5600円の寄附をそれぞれ「交付金」として受領した旨の記載があるが、「県支部連」の政治資金規正法に定める2013年分政治資金収支報告書(以下「県支部連2013年分収支報告書」という。)には、「第一選挙区支部」への「交付金」2013年6月12日435万円についての記載はあるものの、同年7月31日に31万5600円の「寄附」についての記載がない。

「第一選挙区支部2013年分収支報告書」通りであれば、「県支部連」は、「第一選挙区支部」に「交付金」として寄附した31万5600円(2013年7月31日)を記載しなかっただけではなく、それを支出に含めて記載していない以上、その分の収入についても一切記載してはいないことになる。つまり、寄附金31万5600円は、言わば「出所不明」の「闇ガネ」であったとしか考えられない。

「県支部連」の代表である奥野信亮は、同会計責任者であった上田悟と共謀の上、「県支部連2013年分収支報告書」の支出欄に「第三選挙区支部」に対し2013年7月31日に31万5600円を「交付金」として寄附したと記載し、同収入欄にはその分の供与者の氏名・住所などについて記載する義務を負っていたにもかかわらず、その義務に違反し、それらを一切記載せず、2014年3月31日に同収支報告書を奈良県選挙管理委員会に提出し、

もって政治資金規正法第25条第1項第2号(不記載罪)に違反したものである。

 

第2 罪名及び罰条

1 上記1の告発事実について

被告発人山本早苗と同木下剛志は政治資金規正法第25条第1項第2号(不記載罪)、刑法第60条(共同正犯)

2 上記2の告発事実について

(1)上記2(1)ア(2)(3)(4)について被告発人奥野信亮と同上田悟は政治資金規正法第25条第1項第2号(不記載罪)、刑法第60条(共同正犯)

(2)上記2(1)イについて被告発人奥野信亮と同西川史郎は政治資金規正法第25条第1項第2号(不記載罪)、刑法第60条(共同正犯)

 

告発の理由

 

1 政治資金規正法の定め

①政治資金規正法は、同法において「党費又は会費」とは「いかなる名称をもってするを問わず、政治団体の党則、規約その他これらに相当するものに基づく金銭上の債務の履行として当該政治団体の構成員が負担するもの」を定義し(第4条第2項)、同法において「寄附」とは「金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のもの」と定義する(同条第3項)とともに、「法人その他の団体が負担する党費又は会費は、寄附とみなす」と定めている(第5条第2項)。

②同法は、「政治団体の会計責任者(報告書の記載に係る部分に限り、会計責任者の職務を補佐する者を含む。)は、毎年12月31日現在で、当該政治団体に係るその年における収入、支出その他の事項で次に掲げるもの(これらの事項がないときは、その旨)を記載した報告書を、その日の翌日から3月以内(……)に、第6条第1項各号の区分に応じ当該各号に掲げる都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に提出しなければならない。」と定め(第12条第1項)、

また、「収入」における「同一の者からの寄附で、その金額の合計額が年間5万円を超えるもの」については、「その寄附をした者の氏名、住所及び職業、当該寄附の金額及び年月日」を上記政治資金収支報告書に記載するよう義務づけており(同条同項第1号ロ)、「人件費、光熱水費その他の総務省令で定める経費以外の経費の支出」における「一件当たりの金額(数回にわたってされたときは、その合計金額)が5万円以上のもの」については、「その支出を受けた者の氏名及び住所並びに当該支出の目的、金額及び年月日」を上記政治資金収支報告書に記載するよう義務づけている(同条同項第2号)。

さらに、「収入」における「一の政治資金パーティーの対価に係る収入(報告書に記載すべき収入があつた年の前年以前における収入を含む。)のうち、同一の者からの政治資金パーティーの対価の支払で、その金額の合計額が二十万円を超えるもの」については、「その年における対価の支払について、当該対価の支払をした者の氏名、住所及び職業並びに当該対価の支払に係る収入の金額及び年月日」を上記政治資金収支報告書に記載するよう義務づけている(第12条第1項第1号ト)

③「国会議員関係政治団体」とは「衆議院議員又は参議院議員に係る公職の候補者が代表者である政治団体」や「租税特別措置法 (…)第41条の18第1項第4号に該当する政治団体のうち、特定の衆議院議員又は参議院議員に係る公職の候補者を推薦し、又は支持することを本来の目的とする政治団体」のほかに、「政党の支部で、公職選挙法第12条に規定する衆議院議員又は参議院議員に係る選挙区の区域又は選挙の行われる区域を単位として設けられるもののうち、衆議院議員又は参議院議員に係る公職の候補者が代表者であるもの」も「国会議員関係政治団体とみなす」と定め(第19条の7第1項)、「国会議員関係政治団体(……)の会計責任者が政治団体の会計責任者として行う第12条第1項及び第2項……の規定による報告書及び領収書等の写しの提出に係る第12条第1項……の規定の適用については、第12条第1項中『3月以内』とあるのは『5月以内』と、……、同項第2号中「経費以外の経費の支出」とあるのは「経費以外の経費(第19条の7第1項に規定する国会議員関係政治団体である間に行った支出にあっては、人件費以外の経費)の支出」と……する、と定めている(第19条の10)。

④そして、同法は、「第12条……の報告書又はこれに併せて提出すべき書面に記載すべき事項の記載をしなかった者」や「第12条第1項……の報告書又はこれに併せて提出すべき書面に虚偽の記入をした者」につき「5年以下の禁錮又は100万円以下の罰金に処する」と罰則を定めている(第25条第2号・第3号)。したがって、もし収入につき収支報告書に記載がなされなかった場合や虚偽の記載がなされた場合があると「5年以下の禁錮又は100万円以下の罰金」という刑罰でもって収入につき真実の報告を厳しく要求しているのである。

 

2 山本(高市)早苗らの告発事実

(1)山本早苗木下剛志について

高市早苗こと山本早苗は、1990年、第16回参議院議員通常選挙に奈良県選挙区から無所属として出馬したが、落選した。1993年、第40回衆議院議員総選挙に奈良県全県区から無所属で出馬し、初当選した。1994年、政策集団「リベラルズ」に参加し、リベラルズを母体に自由党(党首・柿澤弘治)が結党され、与党入りしたが、同年7月、自民党を離党し自由改革連合(代表・海部俊樹)を結成し、同年末に新進党に合流した。「政治改革」により衆議院の選挙制度は小選挙区比例代表並立制に改められ、1996年の第41回衆議院総選挙では、小選挙区選挙で奈良1区から新進党公認で出馬し、再選された。しかし、11月5日に新進党を離党し、12月27日には自由民主党に入党した。

2000年の第42回衆議院議員総選挙では比例近畿ブロック単独で出馬し、3選となった。2002年、第1次小泉改造内閣で経済産業副大臣に就任した。2003年の第43回衆議院議員総選挙では、奈良1区で立候補したが、落選し、比例代表選挙でも落選した。2004年、山本拓議員と結婚し、近畿大学経済学部教授に就任した。

2005年の第44回衆議院議員総選挙では、奈良2区に国替し、国政に復帰した。2006年、第1次安倍内閣で内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策・科学技術政策・少子化対策・男女共同参画・食品安全)に就任し、初入閣した。2008年8月、福田康夫改造内閣で経済産業副大臣に就任した。2009年の第45回衆議院議員総選挙では、奈良2区で落選したが、比例近畿ブロックで当選し5選を果たし、麻生内閣で経済産業副大臣に就任した。2012年12月の第46回衆議院議員総選挙で6選し、第55代自民党政務調査会長に就任した。2014年9月3日に発足した第2次安倍改造内閣で、総務大臣に就任し、同年12月の第47回衆議院議員総選挙で7選となり、12月24日に発足した第3次安倍内閣で総務大臣に再任された。

山本早苗は「自由民主党奈良県第二選挙区支部」(「第二選挙区支部」)および資金管理団体「新時代政策研究会」(新時代政策研)の代表である。

木下剛志は少なくとも2011年分から2014年分までの政治資金収支報告書における「第二選挙区支部」の会計責任者であり、かつ事務担当者である。また、山本早苗の資金管理団体「新時代政策研」および政治団体「高市早苗連合後援会」の2011年分から2014年分までの会計責任者、事務担当者でもある。

 

(2)受領寄附440万円の不記載とその「闇ガネ」支出(2012年)について

「県支部連」(代表・奥野信亮)は、2013年4月1日奈良県選挙管理委員会に、政治資金規正法に定める「県支部連2012年分収支報告書」を提出しており、同収支報告書の支出欄には、「第二選挙区支部」に対し2012年8月21日に440万円を「交付金」として寄附した旨の記載がある。(甲第1号証

他方、「第二選挙区支部」の政治資金規正法に定める「第二選挙区支部2012年分収支報告書」には、「県支部連」からの寄附の受領については一切記載されてはいない(甲第2号証

「県支部連2012年分収支報告書」通りであれば、「第二選挙区支部」は、受領した寄附金440万円を記載しなかっただけではなく、それを収入に含めて記載していない以上その分の支出についても一切記載してはいないことになる。つまり、受領寄附440万円は、支出先や支出内容を公表できない、言わば「闇ガネ」として支出したとしか考えられない(さもなければ、ポケットマネーになっているだろう)。

このような高額の「闇ガネ」の支出は、「第二選挙区支部」の代表である山本早苗の意向を無視して行われたとは考えられないので、山本早苗は、同会計責任者であった木下剛志と共謀の上、「第二選挙区支部2012年分収支報告書」の収入欄に「県支部連」からの寄附440万円の寄附を記載し、同支出欄にはその分の支出を記載する義務を負っていたにもかかわらず、その義務に違反し、それらを一切記載せず、2013年5月29日に同収支報告書を奈良県選挙管理委員会に提出し、

もって政治資金規正法第25条第1項第2号(不記載罪)に違反したものである。

 

(3)受領寄附435万円の不記載とその「闇ガネ」支出(2013年)について

「県支部連」(代表・奥野信亮)は、2014年3月31日奈良県選挙管理委員会に、政治資金規正法に定める「県支部連2013年分収支報告書」を提出しており、同収支報告書の支出欄には、「第二選挙区支部」に対し2013年6月12日に435万円を「交付金」として寄附した旨の記載がある(甲第3号証

他方、「第二選挙区支部」の政治資金規正法に定める「第二選挙区支部2013年分収支報告書」には、「県支部連」からの寄附の受領については一切記載されてはいない(甲第4号証

「県支部連2013年分収支報告書」通りであれば、「第二選挙区支部」は、受領した寄附金435万円を記載しなかっただけではなく、それを収入に含めて記載していない以上、その分の支出についても一切記載してはいないことになる。つまり、受領寄附435万円は、支出先や支出内容を公表できない、言わば「闇ガネ」として支出したとしか考えられない。

2013年には第23回参議院議員通常選挙が7月4日に公示され、同月21日に投開票が実施されたが、「第二選挙区支部」はその直前に「県支部連」から435万円を受領し、同選挙における闇ガネとして支出した可能性があるし、同選挙以外であっても政治における闇ガネとして支出された可能性もある(さもなければ、ポケットマネーになっているだろう)。

いずれにせよ、このような「闇ガネ」の支出は、「第二選挙区支部」の代表である山本早苗の意向を無視して行われたとは考えられないので、山本早苗は、同会計責任者であった木下剛志と共謀の上、「第二選挙区支部2013年分収支報告書」の収入欄に「県支部連」からの寄附435万円の寄附を記載し、同支出欄にはその分の支出を記載する義務を負っていたにもかかわらず、その義務に違反し、それらを一切記載せず、2014年5月2日に同収支報告書を奈良県選挙管理委員会に提出し

もって政治資金規正法第25条第1項第2号(不記載罪)に違反したものである。

 

(4)計50万円の収入の不記載とその「闇ガネ」支出(2014年)について

ア 政治資金パーティー券代40万円の不記載とその「闇ガネ」支出について

「県トラック運送連盟」(代表・藤岡修三)は、2015年3月9日奈良県選挙管理委員会に、政治資金規正法に定める2014年分政治資金収支報告書(以下「県トラック運送連盟2014年分収支報告書」という。)を提出しており、同収支報告書の支出欄には、「新時代政策研究会」に対し2014年5月29日に「パーティー券購入」代金40万円を支出した旨の記載がある。(甲第5号証

他方、「新時代政策研」の政治資金規正法に定める「新時代政策研2014年分収支報告書」には、「県トラック運送連盟」からの「パーティー券購入」代金の受領については一切記載されてはいない(甲第6号証)。

「県トラック運送連盟2014年分収支報告書」通りであれば、「新時代政策研」は、受領した「パーティー券購入」代金40万円を記載しなかっただけではなく、それを収入に含めて記載していない以上、その分の支出についても一切記載してはいないことになる。つまり、受領代金40万円は、支出先や支出内容を公表できない、言わば「闇ガネ」として支出したとしか考えられない。

このような「闇ガネ」の支出は「新時代政策研」の代表である山本早苗の意向を無視して行われたとは考えられないので、山本早苗は、同会計責任者であった木下剛志と共謀の上、「新時代政策研2014年分収支報告書」の収入欄に「県トラック運送連盟」からの「パーティー券購入」代金40万円(2014年5月29日)を記載し、同支出欄にはその分の支出を記載する義務を負っていたにもかかわらず、その義務に違反し、それらを一切記載せず、2015年6月15日に同収支報告書を(奈良県選挙管理委員会を介して)総務大臣に提出し

もって政治資金規正法第25条第1項第2号(不記載罪)に違反したものである。

 

イ 受領寄附計10万円の不記載とその「闇ガネ」支出について

  • 「県薬剤師連」(代表・竹上茂)は、2015年3月20日奈良県選挙管理委員会に、政治資金規正法に定める「県薬剤師連2014年分収支報告書」を提出しており、同収支報告書の支出欄には、「第二選挙区支部」に対し2014年11月29日に5万円を寄附した旨の記載がある(甲第7号証
  • 「参議院選挙区第一支部」(代表・堀井巌)は、2015年5月25日奈良県選挙管理委員会に、政治資金規正法に定める「参議院選挙区第一支部2014年分収支報告書」を提出しており、同収支報告書の支出欄には、「第二選挙区支部」に対し2014年12月2日に5万円を「交付金」として寄附した旨の記載がある。(甲第8号証
  • 他方、「第二選挙区支部」の政治資金規正法に定める「第二選挙区支部2014年分収支報告書」には、「県薬剤師連」からの寄附の受領についても、「参議院選挙区第一支部」からの寄附の受領についても、一切記載されてはいない。(甲第9号証

「県薬剤師連2014年分収支報告書」および「参議院選挙区第一支部2014年分収支報告書」通りであれば、「第二選挙区支部」は、「県薬剤師連」から受領した寄附5万円(2014年11月29日)と「県支部連」から受領した寄附5万円の寄附(2014年12月2日)を記載しなかっただけではなく、それを収入に含めて記載していない以上、その分の支出についても一切記載してはいないことになる。つまり、受領寄附計10万円は、支出先や支出内容を公表できない、言わば「闇ガネ」として支出したとしか考えられない。

2014年12月には衆議院総選挙が実施されたが、「第二選挙区支部」はその直前に上記計10万円を受領し、同選挙における闇ガネとして支出した可能性があるし、同選挙以外であっても政治における闇ガネとして支出された可能性もある(さもなければ、ポケットマネーになっているだろう)。

いずれにせよ、このような「闇ガネ」の支出は、「第二選挙区支部」の代表である山本早苗の意向を無視して行われたとは考えられないので、山本早苗は、同会計責任者であった木下剛志と共謀の上、「第二選挙区支部2014年分収支報告書」の収入欄に「「県薬剤師連」から受領した寄附5万円(2014年11月29日)と「県支部連」から受領した寄附5万円の寄附(2014年12月2日)を記載し、同支出欄にはその分の支出を記載する義務を負っていたにもかかわらず、その義務に違反し、それらを一切記載せず、2015年6月1日に同収支報告書を奈良県選挙管理委員会に提出し

もって政治資金規正法第25条第1項第2号(不記載罪)に違反したものである。

 

3 奥野信亮らの告発事実

(1)奥野信亮と上田悟について

奥野信亮は父親が衆議院議員奥野誠亮であり、2003年総選挙で奈良県第三選挙区から立候補者初当選した。2005年9月の総選挙で再選されたが、2009年9月の第45回衆議委員総選挙で落選した。2010年11月、自由民主党奈良県支部連合会の会長に就任し、2012年12月の総選挙で奈良県第三選挙区より立候補し、衆議院議員に3度目の当選を果たし、2014年12月の総選挙で奈良県第三選挙区より4度目の当選を果たした(参照)。2010年分から2014年分までの政治資金収支報告書における「自由民主党奈良県第三選挙区支部」(第三選挙区支部)の代表であるとともに、「県支部連」の代表でもある。

上田悟は2010年分から2014年分までの政治資金収支報告書における「県支部連」の会計責任者である。

西川史郎は2011年分から2014年分までの政治資金収支報告書における「第三選挙区支部」の会計責任者である。

 

(2)受領政治資金計127万円の不記載とその「闇ガネ」支出(2014年)について

ア 「県支部連」受領「会費」122万円の不記載とその「闇ガネ」支出について

「第二選挙区支部」(代表・山本早苗)は、2015年6月1日に奈良県選挙管理委員会に、政治資金規正法に定める2014年分政治資金収支報告書(以下「第二選挙区支部2014年分収支報告書」という。)を提出しており、同収支報告書の支出欄には、「県支部連」に対し2014年6月13日に「会費」として122万円を寄附した旨の記載がある。(甲第9号証

しかし、一方、「県支部連」の政治資金規正法に定める「県支部連2014年分収支報告書」には、「第二選挙区支部」からの「会費」としての寄附122万円の受領については一切記載がなされてはいない。(甲第11号証

「第二選挙区支部2014年分収支報告書」通りであれば、「県支部連」は、受領した「会費」としての寄附金122万円を記載しなかっただけではなく、それを収入に含めて記載していない以上、その分の支出についても一切記載してはいないことになる。つまり、受領122万円は、支出先や支出目的を公表できない、言わば「闇ガネ」として支出したとしか考えられない(さもなければ、ポケットマネーになっているだろう)。

このような「闇ガネ」の支出は、「県支部連」の代表である奥野信亮の意向を無視して行われたとは考えられないので、奥野信亮は、同会計責任者であった上田悟と共謀の上、「県支部連2014年分収支報告書」の収入欄に「第二選挙区支部」からの「会費」としての寄附122円の寄附を記載し、同支出欄にはその分の支出について記載する義務を負っていたにもかかわらず、その義務に違反し、それらを一切記載せず、2015年3月31日に同収支報告書を奈良県選挙管理委員会に提出し、

もって政治資金規正法第25条第1項第2号(不記載罪)に違反したものである。

 

イ 「第三選挙区支部」受領「寄附金」5万円の不記載とその「闇ガネ」支出について

「奈良県歯科医師連盟」(以下「県歯科医師連」という。代表・森口浩充)は、2015年3月27日奈良県選挙管理員会に、政治資金規正法に定める2014年分政治資金収支報告書(以下「県歯科医師連2014年分収支報告書」という。)を提出しており、同収支報告書の支出欄には、「第三選挙区支部」に対し2014年10月29日に5万円を寄附した旨の記載がある。(甲第12号証

しかし、一方、「第三選挙区支部」の政治資金規正法に定める2014年分政治資金収支報告書(以下「第三選挙区支部2014年分収支報告書」という。)には、「県歯科医師連」からの「寄附金」5万円の受領については一切記載がなされてはいない。(甲第13号証

「県歯科医師連2014年分収支報告書」通りであれば、「第三選挙区支部」は、受領した「寄附金」5万円を記載しなかっただけではなく、それを収入に含めて記載していない以上、その分の支出についても一切記載してはいないことになる。つまり、受領5万円は、支出先や支出目的を公表できない、言わば「闇ガネ」として支出したとしか考えられない(さもなければ、ポケットマネーになっているだろう)。

このような「闇ガネ」の支出は、「第三選挙区支部」の代表である奥野信亮の意向を無視して行われたとは考えられないので、奥野信亮は、同会計責任者であった西川史郎と共謀の上、「第三選挙区支部2014年分収支報告書」の収入欄に「県歯科医師連」からの「寄附金」5万円を記載し、同支出欄にはその分の支出について記載する義務を負っていたにもかかわらず、その義務に違反し、それらを一切記載せず、2015年5月22日に同収支報告書を奈良県選挙管理委員会に提出し、

もって政治資金規正法第25条第1項第2号(不記載罪)に違反したものである。

 

(3)「出所不明」の88万1400円収支(2011年)について

「第三選挙区支部」(代表・奥野信亮)は、2012年5月15日奈良県選挙管理委員会に、政治資金規正法に定める2011年分政治資金収支報告書(以下「第三選挙区支部2011年分収支報告書」という。)を提出しており、同収支報告書の収入欄には、「県支部連」から2011年3月22日に30万円、7月11日に88万1400円の寄附をそれぞれ受領した旨の記載がある。(甲第14号証

しかし、一方、「県支部連」の政治資金規正法に定める2011年分政治資金収支報告書(以下「県支部連2011年分収支報告書」という。)には、「第三選挙区支部」への「寄附」についての記載はあるものの、それは、2011年3月22日30万円だけであり、同7月11日88万1400円の「寄附」については記載してはいない。(甲第15証

「第三選挙区支部2011年分収支報告書」通りであれば、「県支部連」は、「第三選挙区支部」に「寄附」した88万1400円を記載しなかっただけではなく、それを支出に含めて記載していない以上、その分の収入についても一切記載してはいないことになる。つまり、寄附金88万1400円は、その供与者を公表できない、言わば「出所不明」の闇ガネであったとしか考えられない。

このような「出所不明」の「闇ガネ」の受領とその支出は、「県支部連」の代表である奥野信亮の意向を無視して行われたとは考えられないので、奥野信亮は、同会計責任者であった上田悟と共謀の上、「県支部連2011年分収支報告書」の支出欄に「第三選挙区支部」に対し2011年7月11日に88万1400円を「寄附」したと記載し、同収入欄にはその分の供与者について記載する義務を負っていたにもかかわらず、その義務に違反し、それらを一切記載せず、2012年4月2日に同収支報告書を奈良県選挙管理委員会に提出し、

もって政治資金規正法第25条第1項第2号(不記載罪)に違反したものである。

 

(4)「出所不明」の81万2400円の収支(2012年)について

「第三選挙区支部」(代表・奥野信亮)は、2013年5月28日奈良県選挙管理委員会に、政治資金規正法に定める「第三選挙区支部2012年分収支報告書」を提出しており、同収支報告書の収入欄には、「県支部連」から2012年7月9日に81万2400円、8月21日440万円の寄附を、それぞれ受領した旨の記載がある。(甲第16号証

他方、「県支部連」の政治資金規正法に定める「県支部連2012年分収支報告書」には、「第三選挙区支部」への「寄附」について記載はあるものの、それは、2012年8月21日440万円だけであり、同年7月9日81万2400円の「寄附」についての記載はなされてはいない。(甲第1号証

「第三選挙区支部2012年分収支報告書」通りであれば、「県支部連」は、「第三選挙区支部」に「寄附」した81万2400円(2012年7月9日)を記載しなかっただけではなく、それを支出に含めて記載していない以上、その分の収入についても一切記載してはいないことになる。つまり、寄附金81万2400円は、その供与者を公表できない、言わば「出所不明」の闇ガネであったとしか考えられない。

いずれにせよ、このような「出所不明」の「闇ガネ」の受領とその支出は、「県支部連」の代表である奥野信亮の意向を無視して行われたとは考えられないので、奥野信亮は、同会計責任者であった上田悟と共謀の上、「県支部連2012年分収支報告書」の支出欄に「第三選挙区支部」に対し2012年7月9日に81万2400円を「寄附」したと記載し、同収入欄にはその分の供与者について記載する義務を負っていたにもかかわらず、その義務に違反し、それらを一切記載せず、2013年4月1日に同収支報告書を奈良県選挙管理委員会に提出し、

もって政治資金規正法第25条第1項第2号(不記載罪)に違反したものである。

 

(5)「出所不明」の31万5600円の収支(2013年)について

「第一選挙区支部」(代表・小林茂樹)は、2014年5月30日奈良県選挙管理委員会に、政治資金規正法に定める「第一選挙区支部2013年分収支報告書」を提出しており、同収支報告書の収入欄には、「県支部連」から2013年6月12日に435万円、同年7月31日に31万5600円の寄附をそれぞれ「交付金」として受領した旨の記載がある。(甲第17号証

他方、「県支部連」の政治資金規正法に定める「県支部連2013年分収支報告書」には、「第一選挙区支部」への「交付金」2013年6月12日435万円についての記載はあるものの、同年7月31日に31万5600円の「寄附」についての記載はなされてはいない。(甲第3号証

「第一選挙区支部2013年分収支報告書」通りであれば、「県支部連」は、「第一選挙区支部」に「交付金」として寄附した31万5600円(2013年7月31日)を記載しなかっただけではなく、それを支出に含めて記載していない以上、その分の収入についても一切記載してはいないことになる。つまり、寄附金31万5600円は、その供与者を公表できない、言わば「出所不明」の「闇ガネ」であったとしか考えられない。

このような「出所不明」の「闇ガネ」の受領とその支出は、「県支部連」の代表である奥野信亮の意向を無視して行われたとは考えられないので、奥野信亮は、同会計責任者であった上田悟と共謀の上、「県支部連2013年分収支報告書」の支出欄に「第三選挙区支部」に対し2013年7月31日に31万5600円を「交付金」として寄附したと記載し、同収入欄にはその分の供与者の氏名・住所などについて記載する義務を負っていたにもかかわらず、その義務に違反し、それらを一切記載せず、2014年3月31日に同収支報告書を奈良県選挙管理委員会に提出し、

もって政治資金規正法第25条第1項第2号(不記載罪)に違反したものである。

証  拠  目  録

1 甲第1号証   「県支部連」2012年分収支報告書

2012自民党奈良県支部連合会

2 甲第2号証   「第2選挙区支部」2012年分収支報告書

3 甲第3号証   「県支部連」2013年分収支報告書

2013自民党奈良県支部連合会

4 甲第4号証   「第2選挙区支部」2013年分収支報告書

5 甲第5号証   「県トラック運送連盟」2014年分収支報告書

6 甲第6号証   「新時代政策研」2014年分収支報告書

7 甲第7号証   「県薬剤師連」2014年分収支報告書

8 甲第8号証   「参議院選挙区第一支部」2014年分収支報告書

9 甲第9号証   「第二選挙区支部」2014年分収支報告書

10 甲第10号証(欠番)

11 甲第11号証「県支部連」2014年分収支報告書

2014自民党奈良県支部連合会

12 甲第12号証 「県歯科医師連」2014年分収支報告書

13 甲第13号証 「第三選挙区支部」2014年分収支報告書

14 甲第14号証 「第三選挙区支部」2011年分収支報告書

15 甲第15号証 「県支部連」2011年分収支報告書

2011自民党奈良県支部連合会

16 甲第16号証 「第三選挙区支部」2012年分収支報告書

17 甲第17号証 「第一選挙区支部」2013年分収支報告書

 

 

添  付  書  類

1 甲各号証写し                   各1通

2 委任状                      13通

被 告 発 人 目 録

奥野信亮

被告発人氏名 住所
1 山本早苗 奈良県生駒市東生駒1-77-6インペリアル東生駒1階
2 木下剛志 奈良県生駒市東生駒1-77-6インペリアル東生駒1階
3 奈良県御所市113-3
4 上田悟 奈良市油阪町85-1
5 西川史郎 奈良県御所市113-3

 

 

Pocket